2023 Fiscal Year Research-status Report
オミクス解析によるDFN3難聴の原因遺伝子Brn4の転写制御ターゲットの解明
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23K08996
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
城所 淑信 順天堂大学, 医学部, 助教 (60514487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 大祐 順天堂大学, 医学部, 助教 (20624951)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 遺伝性難聴 / 蝸牛 / Brn4 / オミクス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Brn4は蝸牛細胞の分化に関わる転写因子であり、X染色体性の非症候性難聴では最多の疾患であるX-linked deafness type3(DFN3)の原因遺伝子である。我々はこれまでBrn4欠損マウスを用いた研究から、Brn4変異難聴の病態として蝸牛線維細胞の変性や蝸牛支持細胞におけるギャップ結合プラークの崩壊を明らかにしてきた。一方、転写因子であるBrn4の標的遺伝子はほとんどわかっておらず、Brn4変異がこれらの異常をどのようなメカニズムで引き起こすのかも不明なままであった。そこで本研究では蝸牛の線維細胞と支持細胞を対象に、クロマチン免疫沈降シーケンス法(ChIP-seq)とRNAシーケンス法(RNA-seq)の2つのオミクス解析を組み合わせることでBrn4の標的遺伝子を決定し、Brn4が蝸牛線維細胞の変性やギャップ結合プラーク崩壊を引き起こすメカニズムの解明を目指す。 本年度は線維細胞と支持細胞をin vitroで分化誘導する方法の開発に取り組んだ。以前に我々が開発した分化誘導法(Fukunaga, Front Cell Dev Biol, 2021)ではマウスES細胞から蝸牛支持細胞の特徴を持つギャップ結合形成細胞(iCX26GJC)が誘導される。本法にいくつかの変更を加えた結果、線維細胞の特徴を有する細胞が出現した。さらに検討を重ね、支持細胞と線維細胞を選択的に誘導可能な条件を見出した。オミクス解析には目的の細胞を高純度かつ大量に調製する必要があり、新たな分化誘導法により効率的な実験が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分化誘導法の改良に成功し、オミクス解析の準備が進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
Brn4の蝸牛線維細胞および蝸牛支持細胞における標的遺伝子を決定するため、以下のように研究を進める。①Brn4のエピゲノム解析の条件検討を進める。ChIPのための抗体のバリデーションやクロスリンク条件の検討を行う。また、より新しいエピゲノム解析手法であるCUT&Tagの活用についても検討する。②野生型マウスおよびBrn4-KOマウスの内耳から線維細胞と支持細胞を取り出し、RNA-seq解析を行う。
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Causes of Carryover |
マウス実験が想定より少なかったために余剰額が生じた。次年度のオミクス実験に充当し、加速的に研究を進めていく。
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