2023 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ機能を制御するmiRNAを応用した新規歯周病治療薬の開発
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23K09119
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐野 朋美 九州大学, 歯学研究院, 助教 (50782075)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マクロファージ / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、マウス由来M0マクロファージ細胞RAW264.7をM1マクロファージに分化させることで発現抑制するmiRNAを特定することを目的とした。着目するmiRNAの候補を決めるためのマイクロアレイデータは先行研究の結果を用いた。Ccr7遺伝子と結合部位を持つmiRNAは標的遺伝子予測サイトから抽出した。M1マクロファージにおけるCcr7と予測miRNAの発現量はリアルタイムPCR法で検討した。miRNAとCcr7の結合は予測結合部位を挿入したベクターをmiRNAとともに細胞へ共導入し、ルシフェラーゼアッセイによって確認した。miRNAによるM1マクロファージへの分化抑制効果は、RAW264.7をmiRNA導入後に分化誘導しM1マクロファージマーカーの発現で解析した。この解析にはリアルタイムPCRとウエスタンブロットを用いた。 M1マクロファージで有意に発現が抑制されるmiRNAの上位30個のうち、Ccr7の標的となり得るmiRNAとして、let-7c-5p、miR-15b-5p、miR-193a-3pを抽出し、miR-15b-5pに着目した。M1マクロファージに分化させたRAW264.7は、Ccr7とmiR-15b-5pの発現が、前者は有意に亢進し後者は低下した。また、miR-15b-5pはCcr7の915-920および934-939の3'UTRで結合し、RAW264.7へのmiR-15b-5p導入でCcr7発現は有意に抑制された。さらに、miR-15b-5pを導入したRAW264.7はM1マクロファージへの分化が抑制された。 miR-15b-5pはCcr7を標的とし、M1マクロファージへの分化を抑制する可能性を細胞レベルで証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は細胞実験を計画し、予定通りに進んだから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、miRNAによる抗炎症効果の検討を実験動物を用いて行う。 まず、マウスの骨髄へ標識したmiR-15b-5pを導入し、炎症刺激を与えた際に、組織に浸潤する骨髄単球由来マクロファージの動態を検討する。 生体内でもM1マクロファージへの分化を抑制することができれば、miR-15b-5pは炎症を制御する新たな創薬の標的となり得る。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会へ参加しなかったため。
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