2023 Fiscal Year Research-status Report
Function of dipeptidyl-peptidases of periodontal bacteria in proliferation and pathogenicity
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23K09125
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
根本 孝幸 岩手医科大学, 歯学部, 非常勤講師 (90164665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 優子 岩手医科大学, 歯学部, 非常勤講師 (10164667)
石河 太知 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10569247)
鈴木 茉那美 (中里茉那美) 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10823841)
佐々木 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 特任教授 (30453327)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歯周病 / ジペプチジルペプチダーゼ / 糖尿病 / ジペプチド / タンパク代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 基質ペプチドC末側による活性上昇 - 歯周病細菌が発現する4種類のジペプチジルペプチダーゼ(DPP)は菌の栄養とエネルギー獲得に必須である。DPP4とDPP7は宿主であるヒトの生理活性物質インクレチンを分解して糖尿病を悪性化する。特にDPP7によるインクレチンの効率的分解は従来の疎水性アミノ酸特異性からは予想外だったが、その基質認識に切断点C末側に重要な役割をあることを発見して、その謎を解明した(Ohara-Nemotoら、2022)。この現象がDPPなどのエキソペプチダーゼだけでなく、エンドぺプチダーゼでも共通である可能性を検討した。エンドぺプチダーゼのサーモライシンも同様に切断点C末端側が活性を上昇させたが、その効果はN末端側アミノ酸が1-2残基のみ存在するペプチドに限られた。つまりサーモライシンがエキソペプチダーゼ様活性を示す場合にのみC末側が必要であった。この結果から、DPPででは切断点のアミノ側に2アミノ酸がくるが、その短いN末端だけでは安定な酵素気質複合体の形成には不十分なために、C末側のアミノ酸が酵素活性に寄与するという仕組みが推定された。
2. N末端2番目に中性アミノ酸を有する基質の分解 - N末端より2番目のアミノ酸が中性アミノ酸の基質を分解するDPPの報告はない。これは歯周病菌によるジペプチド産生効率の障害となる。しかしながら我々は、多くのプロテアーゼ研究に用いられる切断点のC末側に蛍光物質を組み込んだ合成基質ではなく、C末側にもアミノ酸残基がある基質では、DPP7がその切断を担当しうることを見いだした。さらにこの切断は、P2位置(N末端)に疎水性アミノ酸が存在する場合にはさらに効率が増大した。この結果、歯周病菌は400種類の全ての組み合わせのジペプチドを産生できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 本課題研究以前に我々は、基質ペプチドの切断点のC末側(プライム領域)が、酵素活性を大きく上昇せせることを見いだしている。発見当初は意外であったが、よくよく考えれば当たり前かもしれないと思い至り、ならばDPPなどのエキソペプチダーゼだけではなく、エンドペプチダーゼであるサーモライシンを用いて同様の検討を行なった。その結果やはりC末側に酵素活性上昇作用を認めたが、意外にもこの効果は、基質のN末側アミノ酸が1-2残基と短い時のみにみられ、3残基以上ではみられなかった。この事実は、翻ってDPPではN末端アミノ酸が2残基であることが、C末側に重要な役割を持つことになることを強く示唆することになった。
2. 同様の手法によって、従来切断することの難しいとされてきた中性アミノ酸を2番目に持つ基質ペプチドがDPP7によって切断できることを示すことができた。
上記の2点が本年度の主な成果であるが、そのうち(1)は当初思いもしていなかった発見であり、(2)は本研究の中心課題における成果であることから、区分は上記のように「おおむね当初の予定通りに進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
吾々のこれまでの成果から、歯周病菌における次ペプチド産生機構の全体像と、その効率の良い仕組みが明らかとなってきた。今後は残された二つの課題に注力する予定である。
1 DPP5とDPP7の「役割の分担の仕組み - DPP5とDPP7のP1位置(N末端より2番目)の基質特異性がともに疎水性のアミノ酸を好むにもかかわらず、我々の研究(Roufら、2013)により両者の担当する基質にはある程度の差があることがわかってきた。主要な違いはP2位置(N末端)の得意紫影の違いで、DPP7は疎水性アミノ酸を好み、一方 DPP5にはそのような特異性は存在していなかった。しかし本研究の詳細な研究によって、基本的には DPP5もP2に疎水性アミノ酸を好むことが判明した。そこで DPP5とDPP7の役割分担機構を再検討する予定である。
2 ジペプチド産生機構のもつ意味 - Porphyromonas gingivalisを含むphyra Bacteroidesは栄養タンパク質の分解過程の中心にジペプチドを用いている。 産生後細胞内に取り込んだジペプチドは細胞質内で2分子のアミノ酸に分解されてから利用される。それならアミノ酸にして取り込んでも良いはずであるが、しかしジペプチドを選択的に作り、取り込むのはなぜだろうか?現在の作業仮説(ポーチ仮説)は、アミノ酸にしてから取り込むライバルを出し抜くためだと考えている。周りの競合する細菌類や、小腸であれば腸絨毛細胞とアミノ酸の取り合いをする前に、他者が取り込まないジペプチドを取り込むのである。この仮説を実証するために、Porphyromona gingivalisやBacteroides属菌を持ちいて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度の研究は順調に推移した。合成基質費用として見積もっていた額が、分担者でもある共同研究者の別の予算から支払った部分があったので次年度使用額が生じた。 本年度も同様に合成基質の作成に多くの資金を要する。すこし余裕ができたのでより網羅的な使用をする。例えば、昨年度は、アミノ酸の置換に関して20種類のアミノ酸のうち基本性質を決定できる8ー12種類の合成を目安としていたが、本年度は合成しにくい特殊な2アミノ酸を除いた18種類を合成し、結果において疑いの余地のない緻密な実験系とする。
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Research Products
(2 results)