2023 Fiscal Year Research-status Report
高分化型セメント細胞エクソソームを軸としたセメント質形成と歯周組織再生への応用
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23K09163
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根本 英二 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40292221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | セメント細胞 / エクソソーム / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高分化型細胞セメント細胞のエクソソームはセメント質形成に対して優位性をもつことを示し,メカノシグナルを加えることでその活性がより最適化されることを証明することである。 初年度においては、高分化型セメント細胞から抽出したエクソソームを起点とし、セメント質代謝に与える影響を解析した。まず、セメント細胞の培養系の確立においては、コラーゲンコートしたシリコンチャンバー内で不死化マウスセメント細胞株IDG-CM6を専用培地を培養した。リアルタイムPCR法で分化度を検証したところ、21日間培養することで高分化型のセメント細胞が誘導されることが確認できた。 次に、高分化型のセメント細胞の細胞培養上清からPureExo単離キットを用いた抽出物を透過電子顕微鏡解析を行ったところ、直径約50~200 nmのエクソソームが存在することを確認することができた。 さらに、同エクソソームを用いて、破骨細胞系の反応に対する影響を解析した。マウス破骨細胞前駆細胞株RAW264.7細胞を、リコンビナントreceptor activator of nuclear factor-κB ligand(rRANKL)刺激により破骨細胞へ分化させる実験系を用いて、エクソソームの影響を調べた。エクソソームは、rRANKLによって誘導される酒石酸耐性酸性ホスファターゼ活性陽性細胞の形成を増強した。また、リアルタイムPCR法およびWestern blot法による解析から、エクソソームは、rRANKL刺激による破骨細胞関連遺伝子およびタンパクの発現誘導に対しても増強することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セメント細胞の分化誘導条件の確立とその条件下において抽出したエクソソームの形態学的検証が初年度の研究期間内で完了した。 さらに、そのエクソソーム により破骨細胞系における分化および活性化が誘導されることが明らかとなったことから、その分子レベルでの解析を含め、セメント質形成系に関連するセメント質代謝に対する解析を次年度以降の継続課題とすることができる。 これらの反応系を基盤とすることで,次年度以降に予定しているセメント細胞がメカノシグナルを受けることによるエクソソーム機能改変への影響について、スムーズに解析を行うことができることから、現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究成果,すなわち高分化型細胞セメント細胞より分泌されるエクソソームにはセメント質代謝の主軸の1つであるセメント質の吸収を誘導するという潜在機能に対して、今後はさらにセメント細胞がメカノシグナル刺激により、その分化誘導活性が調整される可能性について注力していく。さらに、セメント質代謝の主軸であるセメント質形成という観点から、同エクソソーム がセメント質代謝に与える影響についても、次年度以降の研究計画において同様の解析を進めていき、それらを確実に検証したのち、エクソソームに内包されている miRNAに焦点を絞って、網羅的miRNA解析につなげていく。
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Causes of Carryover |
実験に必要な測定キットを発注したものの、バックオーダーとのことから受け取りが次年度となること、初年度に行った範囲の研究内容を国際論文として投稿したが、研究年度末近くの受理報告であったため論文掲載費の支払い手続きは次年度にまたがることが判明した。この未使用額に関しては、翌年度分として請求した助成金と合わせた物品費およびその他としての使用計画とした。
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[Presentation] Functional Roles of RMND5A in Periodontal Tissue Homeostasis2023
Author(s)
R. Fahreza, S. Suzuki, A. Sato, T. Yamamoto, K. Sasaki, X. Wang, Y. Daidoji, K. Nagasaki, R. Hasegawa, E. Nemoto, S. Yamada.
Organizer
第66回春季日本歯周病学会
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