2023 Fiscal Year Research-status Report
Research of glycation stress in pulp, periodontal diseases and novel therapeutic mechanisms
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23K09165
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 治郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70437383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学部附属病院, 准教授 (30263304)
長野 一也 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (40548301)
清水 真人 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70380277)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 糖化最終産物 / 糖化コラーゲン / 老化 / 異栄養性石灰化 / 血管障害 / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、糖尿病モデルラットの歯肉・歯周組織における微小血流を基軸として血管障害を可視化し病的状態を観察することを主目的として行った。歯肉や歯周組織においても血流に関連している部位において架橋型AGEsのpentosidineが多く沈着していることが確認できた。沈着量から推測して、微小血管障害が歯肉および歯周組織においても起こっていることが推測される。歯肉での糖化修飾部位や、炎症性マーカーの発現部位にも相関が認められることからAGEsによる血管の脆弱化、血流障害、低酸素へ移行し組織障害がおこるというメカニズムは、閉鎖環境である歯髄内のような低酸素に陥りやすい組織でなくとも起こっている可能性が示唆された。 今後、微小血管の形態や樹脂鋳型を用いた方法も検討してさらに微細な組織レベルでの関連を調べていき、その際に質量分析マッピングや免疫電子顕微鏡法を駆使してターゲットとなるAGEsの分布を多面的に解析を現在進めている。今年度行った血管の物性試験はラットの胸大動脈に内圧を加え変形特性から血管の脆性化を捉える実験を行い、糖尿病ラットにおいて血管の脆性化につながる知見を得ることが出来た。また、血管と炎症組織の位置関係を三次元的に捉えるため、走査型電子顕微鏡や3次元走査型電子顕微鏡(FIB/SEM)法を用いた3次元的な血管構造観察から各組織の血管障害や閉塞状態を調べている段階であり血管の厚みの現象や内皮細胞の形態に変化が認めれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯肉および歯周組織において糖化最終産物のpentosidineの検出および免疫電顕法による局在を示すことが出来た。血管における最終糖化産物の蓄積は本研究において基盤となる現象であり多面的にその現象が確認できた。また、定量的評価においても、液体クロマトグラフィーや質量分析装置(LC-MAS)などでの評価も可能となった。AGEsの沈着部位において炎症性マーカーや低酸素マーカーも確認することが出来たため、次は血管障害のメカニズムを追求するための形態学的な評価を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、糖化反応阻害剤であるアラゲブリウムの特性を踏まえた、架橋型AGEsへの切断作用を検証するためラットへの投与実験を行う。その際に血流内の薬物動態や組織への挙動を質量分析や血中濃度測定を用いて調べ血管における摂取量と血管内AGEs量を調べ投与量を決める(担当:長野、清水)。組織の色素灌流と透明化法による血流評価、腸間膜血管の物性試験も行い血管血流への薬剤の影響も調べる予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画が順調に進み、今回用いるSDTfattyラット(4万/匹)を大幅に抑えることが出来たため。同時に高額な抗体(10万/100マイクロリットル)の使用量も削減できた。今後も同様の実験を行っていくため出費等の予定は変更は特にないと考えている。
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