2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the mechanisms of interaction between obesity pathology and periodontal infection on cognitive function
Project/Area Number |
23K09183
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大植 香菜 広島大学, 病院(歯), 助教 (60760329)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 徳光 広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (20346505)
吾郷 由希夫 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50403027)
應原 一久 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (80550425)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 肥満 / 歯周病 / ミクログリア / 認知機能障害 / 認知症 / 神経炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症などの神経変性疾患の増加は,今や世界的な社会問題になっているが,根本的な治療法は確立されていない.認知症の発症には,様々な後天的因子や環境因子が関与していると考えられているが,それらの複合的な相互作用のメカニズムの詳細は不明である.歯周病と肥満はともに認知症の危険因子の1つであるが,それぞれ全身に慢性的な炎症を引き起こし,心血管疾患や糖尿病など様々な疾患と関連することが報告されている.さらに近年,肥満病態での歯周感染が,糖尿病や非アルコール性脂肪肝炎を増悪するなど,末梢組織での炎症応答を増幅させるという報告がなされている. 本研究では,認知症リスクファクターとしての肥満病態と歯周感染の相互作用の神経科学的基盤を示し,末梢-中枢連関のメカニズムとミクログリアの意義を明らかにすることで,歯科的視点からの認知機能障害の予防や治療法の開発に資する新たな道筋を示すことを目的とする. これまでの研究において,中枢神経機能障害の惹起または増悪化における歯周病と肥満との相互作用を明らかにするために,高脂肪食による食餌誘因性肥満マウスにP. gingivalis生菌をマウスの口腔内へ塗布し,独自の肥満-歯周病モデルマウスを作製した.この解析のなかで,肥満病態下での歯周感染が物体認知を指標とした記憶学習機能に障害を引き起こすこと,また海馬において炎症応答の増加やミクログリアの形態変化が起こることを見いだした.さらに,PLX3397による全身のミクログリアの枯渇は,肥満-歯周病マウスの認知機能障害を改善した.また,肥満-歯周病マウスの海馬では脳血液関門バリア(BBB)機能に関わるタイトジャンクションの遺伝子発現の低下を認め,BBBの破綻が生じていることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満-歯周病マウス作成にある程度期間が必要である(middle-agedマウス,35週齢程度)ため,やや時間を要することとなった.その他はほぼ計画通り進めることが出来ている.
|
Strategy for Future Research Activity |
BBB機能への影響についてさらに解析を進めていき,これまでの結果をまとめ国際学会誌へ成果報告をおこなう.
|
Causes of Carryover |
国際学会の開催地が日本国内であったため、旅費や宿泊費が想定よりも低くなったために次年度使用額が生じた。今後、研究成果を国際学会での発表に加え、国際雑誌への論文投稿も行う予定であるため、旅費や雑誌掲載料として使用する。
|