2023 Fiscal Year Research-status Report
キーストーン細菌である歯周病菌は肺炎クラミジア感染や動脈硬化を増悪化するか?
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23K09192
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
内記 良一 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10434622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 章雄 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50329611)
長谷川 義明 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70460524)
梅村 正幸 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (90359985)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | autophagy / Chlamydia pneumoniae / Porphyromonas gingivalis / 誤嚥性肺炎 / 動脈硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺炎は、高齢者における死亡原因の一つであり、誤嚥性肺炎は特に重症化リスクが高い。本研究では、肺炎の主要原因菌であるPorphyromonas gingivalis(P.g.)と、誤嚥性肺炎のリスクを高める肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae:C.p.)の共感染が、誤嚥性肺炎の増悪にどのように関与するかを明らかにすることを目的とした。特に、オートファジー制御メカニズムと炎症性サイトカイン産生について検討した。 C.p.感染は初期段階でオートファジーを誘発する一方、その後、TRAF6-Beclin1相互作用の促進とBeclin1のユビキチン化によってオートファジーを抑制することが明らかになった。また、P.g.菌はオートファゴソーム形成を阻害し、C.p.感染の増殖を促進する可能性があることが示唆された。共感染では、GAPR1タンパク質発現とTNF-α産生が単独感染よりも増加することが認められた。また、P.g.菌はオートファゴソーム形成を阻害し、C.p.感染の増殖を促進する可能性が示唆された。 これらの結果は、C.p.とP.g.菌がオートファジーと炎症性サイトカイン産生を制御することで、誤嚥性肺炎の増悪に寄与している可能性があることを示唆している。一年目で得られた成果は、2024年度日本細菌学会にて発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、C.p.とP.g.の共感染が誤嚥性肺炎増悪にどのように関与するかを明らかにすることを目的とし、当初計画通りに順調に進展している。その主な理由は以下の通りである。 ・研究開始前に、C.p.とP.g.の共感染が誤嚥性肺炎増悪に及ぼす影響を明らかにするための明確な研究計画を策定し、この計画に基づき、オートファジーと炎症性サイトカイン産生という2つの重要なメカニズムに焦点を当て、C.p.とP.g.菌の単独感染および共感染モデルをマウスを用いて作成し、オートファジー関連タンパク質の発現・活性、炎症性サイトカイン産生などを測定した。 ・C.p.単独感染におけるオートファジー誘発と抑制メカニズム、P.g.菌によるオートファゴソーム形成阻害とC.p.感染増殖促進の可能性、C.p.、P.g.菌単独感染および共感染における炎症性サイトカイン産生、GAPR1タンパク質発現とTNF-α産生増加などの基礎的なデータ得た。 ・参加いただいた研究者メンバーと定期的にミーティングを行い、研究進捗状況を共有し、研究を効率的に進めている。また、日本細菌学会での発表予定など、積極的に研究成果を発信し、今後の研究発展に繋げていくことを目指している。 これらの理由により、本研究は当初計画通りに順調に進展しており、C.p.とP.g.の共感染が誤嚥性肺炎増悪に及ぼすメカニズムの解明に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた成果を基に、マウス肺炎モデルにおける混合感染が動脈硬化を増悪化させるメカニズムの詳細な解明を行う予定である。具体的には、以下の点を検証する。 C.p.とP.g.菌をマウスに混合感染させるモデルを構築し、それぞれの菌が単独感染した場合と比較した病態変化を詳細に解析する。 組織学的解析などを行い、混合感染が動脈硬化の指標に与える影響を定量的に評価する。 混合感染における免疫担当細胞の動態や炎症性サイトカイン、オートファジー関連タンパクの発現量や活性変化を解析する。
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Causes of Carryover |
本年度の研究は、計画通りに進展しており、当初の見積もりよりも少ない経費で実施することができた。その理由は以下の通りである。 既存の試薬の活用: 本年度は、既存の試薬を最大限活用することで、試薬費を節約することができた。 分担研究者の支出減少: 分担研究者の出張や研究資材購入などの支出が、当初の予定よりも少なかったため、予算の一部が余剰となった。新規試薬の購入: 2023年度節約した試薬費を活用し、来年度は新規の試薬を購入することで、研究の幅を広げていく。2024年度も、引き続き研究を円滑に進め、研究成果を積極的に発表していく予定である。
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Research Products
(1 results)