2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞系譜解析を用いたマラッセ上皮遺残の機能解析と歯周組織再生療法への応用
Project/Area Number |
23K09219
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
入江 一元 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70223352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 昌己 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (50550307)
渋井 徹 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (80453265)
建部 廣明 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40638293)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マラッセ上皮遺残 / ケラチン14 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,まずサイトケラチン14という上皮に特異的に発現するタンパク質を指標に歯を移植した際に再生する歯周組織でマラッセ上皮遺残と呼ばれる上皮由来の組織の動向を形態学的に解析し、歯周組織再生におけるマラッセ上皮遺残の動向と歯根膜で幹細胞特性を持つ細胞の分化との関連を解析する。それによってマラッセ上皮遺残の細胞にセメント芽細胞への分化を誘導する因子があるのか否か、またあった際にはそれがどのようなものか、その解明を目指し,最終的にこれらの分化因子を歯根膜再生療法、インプラント療法へ応用し、歯周組織の自己修復・再生能を賦活化する治療法の開発を目的とする。 そこで,まず4週齢CK14-CreERT2-Tomatoマウスにタモキシフェン投与したのち,非脱灰凍結切片を作製し、Tomato陽性細胞の局在を検出した。その結果,歯肉上皮,エナメル器の上皮細胞および歯根膜のマラッセ上皮遺残の細胞にTomato標識が検出されこれらの細胞でサイトケラチン14が産生されていること,またこれらの細胞の系譜を追跡できることを確認した。今後タモキシフェン投与後の期間を伸ばし,マラッセ上皮遺残の細胞の動態について検討する。またマラッセの上皮遺残が歯根膜の再生に与える影響を検討する予備実験を行った。ラット第一臼歯を抜去し,種々の保存法を用いた後に皮下に移植すると,保存法によって移植後の歯根膜の再生状況が異なるのとともにマラッセ上皮遺残が大きな集団を作ったり,減少したりと種々の動態を示すことが確認された。今後CK14-CreERT2-Tomatoマウスを用いて同様の実験系で歯根膜の再生におよぼすマラッセ上皮遺残の影響を検討する。 一方で硬組織形成細胞の分化に関連した検討では象牙芽細胞分化の初期の段階にANXA2がかかわる可能性を見出しており,今後セメント芽細胞分化との関連を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CK14-CreERT2-Tomatoマウスのマラッセ上皮遺残によるTomato標識を確認できており,今後セメント質形成におけるマラッセ上皮遺残の細胞の影響,歯根膜再生におよぼすマラッセ上皮遺残の細胞の影響を検討できるものと予想する。
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Strategy for Future Research Activity |
CK14-CreERT2-Tomatoマウスのマラッセ上皮遺残によるTomato標識を確認でき,今後その分化状況を追跡する。タモキシフェン投与後の期間を延長し,マウス臼歯の根尖部付近でセメント質の形成が見られる時期のマラッセ上皮遺残系譜細胞の局在を検討する。またCK14-CreERT2-Tomatoマウスを用いた歯の移植の実験系で歯根膜の再生におよぼすマラッセ上皮遺残の影響を検討していく。
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Causes of Carryover |
CK14-CreERT2-TomatoマウスでのTomato標識発現の確認を中心に行い,分化因子等の検討を後回しにしたため,抗体,プローブ等の購入が予定していたより,少なかった。今後細胞分化の検討を行う予定のため種々のの分化マーカーの検討のため前年度の繰り越し分も含め次年度に使用が必要となる。
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