2023 Fiscal Year Research-status Report
歯槽骨再生を促進する副甲状腺ホルモン・ビスホスホネート併用療法の開発
Project/Area Number |
23K09241
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西田 大輔 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (00843608)
芳澤 享子 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (60303137)
堀部 寛治 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70733509)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 副甲状腺ホルモン / 副甲状腺ホルモン関連タンパク / ビスホスホネート / 抜歯窩治癒 / マイクロCT |
Outline of Annual Research Achievements |
副甲状腺ホルモン(PTH)は投与方法により骨組織に及ぼす効果が異なり、持続投与では骨吸収が優位に、間歇投与では骨形成が優位となる。そこでPTHの歯槽骨再生に及ぼす効果について明らかにするために、抜歯後にPTHの間歇投与を行ったが、抜歯窩の治癒に及ぼす影響については明確に示すことができなかった。PTHはPTH1レセプター(PTH1R)に結合して作用するが、そのレセプターのサブタイプには持続的にシグナルを伝えるR0型と間歇的にシグナルを伝えるRG型の存在が報告されている。PTHが持続的シグナルと間歇的シグナルを同程度に働くのに対し、副甲状腺ホルモン関連タンパク(PTHrP)は間歇的シグナルを伝える作用が強いと考えられている。そこで、PTHrPのアナログであり、骨形成に優位に働くとされるPTH1レセプターのRG型に結合するアバロパラチドに変更して解析することとした。 6週齢マウスの上顎第一臼歯を抜去し、3日後から1日2回アバロパラチドを10日間皮下投与し、抜歯後17日後の歯槽骨をマイクロCTにて観察した。コントロール群(生理食塩水投与)では抜歯窩の表面形状は粗造で、くぼみがみられるのに対し、アバロパラチド投与群では、コントロール群に比較して表面の粗造度は少なく、骨の膨隆がみられた。また、抜歯窩の縦断面像において、アバロパラチド群では抜歯窩内の不透過像が密であった。以上のことから、アバロパラチドの間歇投与により、抜歯後の骨再生が促進していることが示唆された。さらに、アバロパラチドによる骨量増加はマイクロCT解析により脛骨においても確認されたことから、本実験系が確立されたことを裏付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス臼歯の抜歯窩治癒過程におけるPTHの効果について検討する予定であったが、PTHの濃度、投与法の検討において時間を有し、PTHの間歇投与による歯槽骨再生促進効果については明らかにすることはできなかった。そこで、PTHよりも骨形成誘導能がすぐれているPTHrP製剤アバロパラチドに変更し、マイクロCT解析を行ったところ、アバロパラチド群において顕著な歯槽骨再生がみられ、実験モデルを確立することができた。しかしながら、組織学的解析は遅れており、アバロパラチド投与による歯槽骨再生促進の作用機序について、骨原性細胞の細胞動態を中心に解析する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
アバロパラチド投与後に経時的に試料を採取し、Ki67発現細胞の分布を解析して、アバロパラチド投与による歯槽骨再生を担う細胞の増殖活性を解析する。また、骨原性細胞の細胞動態については、抗CD90抗体、抗a-SMA抗体を用いて検出し、骨芽細胞への分化については抗Runx2抗体、抗Osterix抗体を用いて、数、分布を形態学的にコントロール群とアバロパラチド投与群と比較する。さらに、アバロパラチド投与が骨形成を促進するサイトカイン分泌を誘導する可能性も考えられることから、組織からmRNAを回収し、real-time PCR法により解析し、骨形成誘導するサイトカイン発現について比較検討する。
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