2023 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部悪性腫瘍による下顎骨浸潤および神経周囲進展の非侵襲的画像評価法の確立
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23K09307
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
栗林 亜実 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (00431932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 潤一郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40506896)
小滝 真也 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80805490)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | MRI / 下顎骨浸潤 / 3D-DESS-WE |
Outline of Annual Research Achievements |
3D撮像法である3D-DESS-WEを用いることにより、造影剤を使用することなく、従来の2D撮像法よりも高い空間分解能を持つ3D画像の取得が可能になる。本研究の目的は3D-DESS-WEによる頭頸部悪性腫瘍の下顎骨浸潤の診断精度を明らかにすることにより、その診断方法を確立し、患者に負担の少ない非侵襲的な検査を臨床応用することである。 今回の研究で用いる3D-DESS-WEは、整形外科領域で軟骨の評価に用いられている撮像法である。TR毎に定常状態自由歳差運動法に基づいた2つの異なるエコーを取得する撮像法であり、1つ目のエコーはFISP法で用いられる自由減衰グラジエントエコーで、2つ目のエコーはPSIF (reversed FISP) 法で用いられるスピンエコーである。FISP法により詳細な解剖学的情報を得ることができ、PSIF法はT2値を強調するため神経や腫瘍が高信号で描出される。これまで頭頸部領域では顔面神経などを対象に、高い空間分解能で神経を高信号に描出し、その走行の描出に適した撮像法であることが報告されている。今回3D-DESS-WE法により、腫瘍および下歯槽神経を高信号で描出し、かつ従来の2D画像よりも高い空間分解能を持つ3D画像が得られることから、造影剤を使用しなくとも顎骨浸潤を高い精度で診断することができると予測した。我々の知る限り3D-DESS-WEを用いて顎骨浸潤の評価について研究した報告はない。また3D画像における造影剤の有無による診断精度の違いを評価した報告もない。当該研究により3D-DESS-WEを用い、造影剤を用いない非侵襲的方法で悪性腫瘍の下顎骨浸潤の評価方法を確立し、臨床に応用することを目指す。 2023年度は3D-DESS-WEシーケンスの撮像条件の最適化を行い、実際に頭頸部悪性腫瘍の撮像を8例行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は3D-DESS-WEシーケンスの撮像条件の最適化を行った。現在当施設において整形外科領域の疾患に利用されている撮像条件を用いて被験者の頭頸部領域を撮像し、適切な撮像範囲の設定、フリップアングルを検討し、実際に頭頸部に応用できることを確認した。また頭頸部悪性腫瘍の患者8例を対象に実際に撮影を行った。概ね研究計画書通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はデータの収集、評価、診断精度の解析を行う。 ・最適化した3D-DESS-WEシーケンスを用いて、下顎骨浸潤が疑われる下顎歯肉、頬粘膜、口底部悪性腫瘍患者のMR画像の撮像および収集されたデータの評価を行う。当施設における過去の症例数を基に3年間の症例数は約50例であると予想する。 ・3名の歯科放射線科専門医により腫瘍の下顎骨の浸潤範囲および下歯槽神経周囲進展の有無を3D-DESS-WE、3D VIBEの画像上で評価する。下歯槽神経周囲進展の画像診断基準は、下顎管に達する腫瘍の骨髄浸潤とし、術後の病理組織学的所見を評価のgold standardとする。 ・3D-DESS-WEと3D VIBE画像の下顎骨浸潤の評価と病理組織学的所見に基づき、それぞれの診断精度を算出し、統計学的解析を行う。3D-DESS-WEの診断精度が3D VIBEと比べて同等かまたは優れているかを検討する。
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Causes of Carryover |
購入予定であったMATLABおよびtool box一式の購入費が当初の計画よりも増加し、解析に必要なPCの購入代金が不足した。そのためPCを本年度の研究費で購入できなかったため次年度使用額が生じた。
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