2023 Fiscal Year Research-status Report
Central nervous mechanism of Swallowing-Respiratory coordination by the co-production network of 5-HT and Substance P
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23K09309
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山西 整 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (20397780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 敬秀 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (90870444)
西尾 崇弘 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪母子医療センター(研究所), その他部局等, 口腔外科・医師 (80974253)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 嚥下活動 / 呼吸活動 / 不核縫線核 / セロトニン受容体 / NK1受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、中枢神経伝達物質であるセロトニンとサブスタンスPを共産生する延髄縫線核ニューロンが呼吸活動だけではなく、嚥下活動の修飾に関わっていることを新生仔ラットから抽出した延髄スライス標本および若年ラットから抽出したworking heat brainstem preparation (WHBP)の2つの研究標本によって明らかにしてきた。WHBPは延髄内の広い範囲の神経ネットワークが機能的に温存されている標本であり、スライス標本は呼吸活動と嚥下活動を誘発することができる最小の組織ユニットである。同じ実験を2つの標本に行い、その結果の相違点または類似点を分析することによって、変化の原因領域を明らかにすることができる。延髄縫線核は、呼吸中枢および嚥下中枢の両方に近接し、これら2つの研究標本のいずれにも存在する修飾回路である。今回の研究では、縫線核ニューロンから分泌されたセロトニン及びサブスタンスPによって呼吸活動と嚥下活動がどのような形で共に修飾作用を受けているかを明らかにすることを目的とする。初年度は縫線核ニューロンの呼吸に対する修飾について延髄スライス標本を用いて検討した。呼吸中枢のレベルの縫線核ニューロンに対して、酸素濃度を変化させた人工脳脊髄液を微量投与した結果、縫線核の外側領域に低酸素状態に反応するニューロンが存在することが明らかになった。外側領域の縫線核ニューロンは低酸素刺激に反応して活性を上昇した一方で、内側領域では低酸素に無反応か抑制作用を受ける細胞が存在することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状では研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は初年度と同様に延髄スライス標本を用いて、縫線核ニューロンの嚥下活動に対する作用を検討する。加えて、嚥下活動発現時における呼吸の抑制作用の中枢メカニズムについて、その作用を媒介する神経伝達物質受容体とその回路について検討を加えたい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大の影響により、一昨年度にチームとしての研究を進めることができなかったため、本研究の前段階の研究である基盤研究(C)「不確縫線核ネットワークによる呼吸と嚥下の共制御メカニズムの解明」の最終年度繰越を行った。今年度の研究費については主にその繰越をした研究費を用いた。今回の研究は、前段階の研究をさらに前進させる研究であり、前段階の研究の最終段階ではその研究目的および研究方法が今回の研究と重なる。このような理由によって今年度は最小限の支出となった。
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