2023 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ局所制御機構を有する炭酸アパタイトの開発と骨再生機能低下の克服
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23K09313
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福田 直志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10804156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸井田 力 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (40611554)
土谷 享 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90722710)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 炭酸アパタイト / マクロファージ / ホスファチジルセリン / 骨再生 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、骨再生の局所環境下で炎症性M1型マクロファージから組織修復性M2型マクロファージへ表現型をスイッチングさせることで、老化骨の修復にどのような影響をおよぼすか評価を行うことが主題である。その手法として、2つの独自技術により開発した①炎症性M1型から組織修復性M2型へのマクロファージ転換を誘導するホスファチジルセリン(PS)ナノ粒子と、②骨置換性を示す炭酸アパタイト(CAp)を複合化し、実験動物を用いた病理組織学的評価や分子生物学的評価を通してその有効性検証を行うこととした。 本年度はまず、板状CApを用いてPSリポソーム (PSL)とプロタミンの交互浸漬 (LbL)によりPSLが積層できるか評価した。その結果、LbL回数に対応したPSL修飾量の増加が認められた。次に、動物実験で使用予定の顆粒状CApを使用して同様の実験を行ったところ、やはりLbL回数依存的な修飾量の増加を認めた。しかし、ロットが異なるサンプル間でPSL修飾量が異なる傾向があった。これは、顆粒はランダムに砕いて製造されているためロット間で重量当たりの表面積が異なることに起因すると推察された。動物実験の再現性を考慮すると一定量の顆粒を埋植する必要があるが、顆粒のPSL修飾量が異なるとマクロファージ表現型スイッチングに差が生まれると予想されるため、再現性よく結果を得ることが難しい。このため、本研究の主題であるマクロファージ表現型スイッチングによる老化骨修復の影響の評価を研究期間内に達成するため、規定量のPSLを骨再生環境下へ注射投与する実験系に変更することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に得られた各結果を総合し当初はPS修飾を行ったCApを実験動物へ適用する予定としていたが、再現性優れる材料合成が難しい事が判明した。期間内に成果を得るために、動物実験についてはCApで再建した骨再生環境下に規定量のPSLを注射投与する系に変更することにしたが、使用する材料の準備や投与経路等の再検討を余儀なくされた。また、本研究では主に高齢実験動物を使用する評価項目が多く、実験動物の確保にやや時間を要した。そのため、全体的に研究進度は遅れているものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題はin vivoの評価項目がほとんどであるため、今後も引き続き動物実験を継続していく。高齢実験動物については必要数の確保はできているので、同様に動物実験を実施し各々について病理組織学的評価を行う。同時に分子生物学的評価として炎症性・抗炎症性サイトカイン、成長因子、骨再生・吸収関連分子のmRNAおよびタンパク質発現レベルの経時変化を定量PCRやELISAで評価する。
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Causes of Carryover |
動物実験系の変更および高齢実験動物の確保に時間を要したため、次年度使用額が生じた。翌年度使用分として請求した研究費と合わせて、動物実験にかかる費用(実験動物購入費、飼育費、消耗品購入費等)へ補填する。また、病理組織学的評価については外部委託を予定しているため、その費用にも充てる予定である。
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Research Products
(10 results)