2023 Fiscal Year Research-status Report
新規生体組織再生材料と骨関連シグナルを組み合わせた顎骨欠損の新たな治療戦略の構築
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23K09373
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岐部 俊郎 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (50635480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石畑 清秀 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (10437957)
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50274064)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 客員研究員 (60217875)
田口 哲志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (70354264)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 顎骨欠損 / 骨補填剤 / Wntシグナル / BMPシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇口蓋裂、顎骨腫瘍、嚢胞や骨髄炎などの口腔顎顔面領域の治療には、先天性もしくは術後の顎骨欠損に対する治療が含まれることが多い。顎骨欠損に対して、臨床では自家骨や骨補填剤による生理的機能の回復を目指しているが、骨採取による患者負担の増加や一般的な骨補填剤では十分な骨新生が得られないことなど、多く問題点が残されている。 そこで申請者らは、国立研究開発法人物質・材料研究機構(以下、NIMS)と連携し、NIMSが開発した疎水化ゼラチン由来生体接着性多孔膜(以下、HxAlGltn)の創部血管新生能や、新規骨補填剤であるオクタリン酸カルシウム・コラーゲン複合体(OCP/Col)骨補填剤が骨細胞に与える影響を解析し、骨再生に関連する知見を蓄積し、顎骨欠損に対する新たな顎骨再建・骨再生治療の臨床応用を目指すことを本研究計画の目的としている。 本研究では、細胞および動物実験モデルを用いて、HxAlGltnおよびOCP/Colが骨細胞や生体組織へ与える影響を評価・解析するとともに、これら新規生体再生材料と組み合わせるWntやBMPを中心とした骨関連シグナル因子の解析を行うことを計画している。 本年度はOCP/ColおよびHxAlGltn環境下での骨細胞の細胞生物学的解析を計画した。本年度の計画では、OCP/ColおよびHxAlGltnを培養液に添加あるいは細胞ディッシュにコーティングした環境下で骨細胞を培養し、増殖能、遊走能、骨分化マーカーやWnt、BMPシグナル因子への影響と基礎的データを収集した。さらに、炭酸アパタイト骨補填剤も計画に追加し、動物実験を行い永久歯への骨新生の影響を評価した。このように、さまざまな生体材料を応用することで、骨欠損に対する新たな治療法に貢献する知見を得ようと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はOCP/Colのを用いた骨細胞の細胞生物学的解析および、炭酸アパタイト骨補填剤を用いた動物実験を実施した。HxAlGltnを用いた環境下での骨細胞の細胞生物学的解析は時間的余裕がなく実施困難となってしまった。 OCP/Colを培養液に添加した環境下で骨細胞を培養し、増殖能、遊走能、骨分化マーカーやWnt、BMPシグナル因子への影響と基礎的データを収集するために、OCP/Colの細胞使用における最適条件の検証を行った。OCP/Colを細胞培養のディッシュに接着させたタイプとOCP/Colを水に溶解させて添加したタイプものを用いて検証したところ、OCP/Colを細胞培養のディッシュに接着させたタイプでは細胞の観察が困難であったため、OCP/Colを水に溶解させて添加したタイプを用いる方針となった。骨細胞はMC3T3-E1を用いて、OCP/Colを添加による石灰化の変化をアリザリン染色にて評価した。その結果、OCP/Colを添加したすべての条件で、石灰化の亢進が認められた。また、骨補填剤によって新生された骨の性質を検証するために炭酸アパタイトを用いた動物実験を実施した。オスのビーグル犬に乳歯抜歯して骨欠損を作成し、炭酸アパタイト骨補填剤を埋入し、後継永久歯の萌出に対して与える影響を解析した。その結果、生理的後継永久歯の萌出と同等の永久歯の萌出が観察された。炭酸アパタイト骨補填剤の表面には破骨細胞が観察され、破骨細胞によって骨リモデリングのサイクルに組み込まれる事が考えられた。この結果は、英文雑誌に投稿し、掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
OCP/Colを培養液に添加した環境下で骨細胞を培養し、増殖能、遊走能、骨分化マーカーやWnt、BMPシグナル因子への影響と基礎的データを収集をさらに進める。Osterix、Runx2、ALP、BSP、OCNなどの骨分化マーカーや転写因子をリアルタイムPCRにて解析し、OCP/Colが骨細胞(MC3T3-E1)の骨分化に与える影響を評価する。比較対象として、OCPが含まれていないコラーゲン培地を使用する。OCPの最適濃度を決定するために、100%、75%、50%、25%に濃度勾配をつけた条件での骨分化をアリザリンレッド染色で解析する。これにより、OCP/Colがどのような因子に影響して骨細胞の分化を促進しているか、その最適濃度はどれほどかを検証する。また、骨分化に関する転写因子は、時間の経過と変化する事が知られており、この経時的変化においても影響を与えるかを検証する予定である。また、HxAlGltnについても、材料を作成準備し、OCP/Colと同様の検証を実施する予定としている。
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Causes of Carryover |
試薬などの購入が少なく、予算が余った。
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[Presentation] Evaluation of eruption of permanent teeth in beagle dog extraction sites filled with carbonate apatite2023
Author(s)
Toshiro Kibe, Kenta Nakazono, Kiyohide Ishihata, Ryohei Tada, Masahiro Tezuka, Yuhei Kamikuri, Ayano Ono-Shiigi, Shinki Serizawa, Kazuhide Nishihara, Norifumi Nakamura
Organizer
The 15th World Congress of the International Cleft lip and Palate Foundation, The 27th Annual Congress of the Korean Cleft Lip and Palate Association
Int'l Joint Research