2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of the contribution of aging and central or peripheral to chronic oro-facial pain.
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23K09388
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (60319069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (00224957)
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40548202)
浅香 卓哉 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (80637265)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 口腔顔面痛 / 自律神経 / 交感神経 / 副交感神経 / ストレスホルモン / 老化 / 痛み度 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔顔面痛(Oro-Facial Pain: OFP)は慢性化しやすく、心身的障害からQOLの低下に繋がりやすい。痛みの慢性化には感覚・中枢神経のみならず自律神経や情動ストレスなどの関与が示唆されている。痛みで疲弊している高齢者も多く、「老化」の関与も想定される。本研究では慢性口腔顔面痛(OFP)患者さんの中枢と末梢(感覚神経・自律神経)を非侵襲的に評価して、痛みと中枢-末梢(感覚・自律神経)-ストレスのネットワ-クの変動および「その老化」の関与を可視化して解明する。 歯科の日常診療で遭遇する慢性疼痛を伴う疾患は舌痛症、原因不明の歯痛、顔面痛が多い。「痛み」は主観的な感覚で定量化することは困難であるが、感覚神経の「痛み度・痛覚閾値」の評価に痛覚定量分析装置(商品名:PAINVISON)を用いて評価している。自律神経活動・ストレスの評価は「心拍のゆらぎ」を用いる。当科では指にクリップをつけて短時間で測定している(商品名:TAS9VIEW)。いずれの測定も痛みを伴わず、被験者の負担は非常に少ない。中枢機能の評価は、本来はMRIなどの脳画像が必要であったが、本研究では患者さんの負担を極力少なくして、繰り返し評価可能な「唾液解析」での準用を試みている。ストレスにより視床下部などからストレスホルモンが分泌され、唾液中のホルモンは血液中のホルモン濃度と強い相関がある。急性ストレスマーカー:アミラーゼ、慢性ストレスマーカー:コルチゾ-ルを測定している。慢性OFP患者さんおよびコントロール群の方の痛み度、自律神経活性、唾液中のストレスホルモン濃度の分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の主要な柱は、患者さんおよびコントロ-ル群の方に協力していただくヒトを対象とした臨床研究である。研究に用いる試料として、自律神経活動の測定および唾液の採取が必要であるが、実際に研究を開始してみると、ポスト・コロにもかかわらずコロナ禍の影響が根強く残っており、臨床現場で患者さんなどに臨床研究へ参加していただくリクル-トの対応が予想以上に困難であった。 少数例に対して研究を開始できているが、まだ詳細なデ-タを提示できる状態には至っていない。舌や口腔顔面の慢性疼痛を主訴に当科を受診した患者さんに対して、薬物療法、簡易精神療法(簡易的な認知行動療法)を施行した前後で、自覚的な痛みの強さをVAS (visual analogue scale: 0: 痛みなし、10: 最高の痛み)と痛覚定量分析装置(商品名:PAINVISON)で評価して比較すると、治療後には痛覚定量分析装置で評価した「痛み度」が有意に低下していることがわかった。「痛み度」の低下はVASの低下よりも大きかった。まだまだ症例を重ねての検証が必要であるが、この所見は慢性疼痛で困っている患者さんは、実際の痛みの改善よりも、自己申告時は改善度を少なく表現する傾向がある可能性を示すものと思われた。 また症例の中には、薬物療法に伴う痛み度の低下に伴い、唾液中のコルチゾ-ル濃度が経時的に低下していく症例も散見された。慢性疼痛と自律神経に関連しているといわれているストレスホルモンの口腔顔面痛への関連が疑われた。しかし唾液中のアミラ-ゼ濃度は治療効果とさほど関連が認められない傾向を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主要なポイントは患者さんおよびコントロ-ル群の方に協力していただく、ヒトを対象とした臨床研究である。研究に用いる試料として、自律神経活動の測定および唾液の採取が重要な要素を占める。コロナ禍の影響がまだ残っているポスト・コロナの診療環境で、前述の如く研究に参加していただく患者さん・コントロ-ル群の研究参加の説明およびリクル-トがうまく運べなかったことは反省点である。来年度以降は、慢性疼痛患者さんおよびコントロ-ル群になりえる方に積極的に研究の説明を行い、研究参加を呼びかけることを念頭においていく。また、日常診療での1回の診療時に、通常の診療に加えて痛覚定量分析装置(商品名:PAINVISON)での痛み度の測定、自律神経活性の測定、ストレスホルモン測定のための唾液の採取を行うには、最低15分以上を要することがわかった。患者さんの負担を少しでも減らすために、それぞれの測定などにかかる時間を短縮すること、研究分担者で検査を分担して能率的に行うような工夫を加えていく。 またコロナ禍が開けたこともあり、同様な研究を行っている研究者との情報交換を行い、研究の方向性の修正を行うと共に、研究成果の学会などでの発表も来年度からさらに積極的に行って行く予定である。
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Causes of Carryover |
本研究はヒトを対象にした臨床研究であるが、対象となる患者さんやコントロ-ル群の方のリクル-トが効率的に行えず、結果として必要な研究機材や試薬、抗体などの消耗品などの消費量が少なくなり、購入費用が予定を下回った。一方で令和5年度においても、引き続き間接的に「コロナ禍」の影響を受けた1年となった。研究者にとって有力な情報交換の場である国内学会および国際学会に参加して研究成果の発表を行ったり、研究の打ち合わせ、相談する機会は減少したままであった。一方で海外学会参加の登録費や渡航費がコロナ禍前に比較して急激に増加しており、複数回の参加が難しくなっている。WEB開催の学会も増え、画面越しでもコミュニケ-ションはとれるようにはなったが、対面での打ち合わせや情報交換の場がまだ完全には回復していないように感じる。令和6年度以降はこの遅れを少しでも取り戻すべく、周囲の状況を見極め様々な感染症に注意しながら、情報収集および成果発表を行い研究を継続していく予定である。
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[Book] Oral Science in Japan 20232023
Author(s)
Sato J, Sakata K, Asaka T, Ohga N, Kondoh Y, Itagaki T, Akahori E, Munekata T, Kato Y, Kitagawa Y.
Total Pages
2
Publisher
Japanese Stomatological Society
ISBN
978-4-9908237-3-3