2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel therapeutic platform for the treatment of craniosynostosis using exosome-delivered siRNA.
Project/Area Number |
23K09410
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小林 起穂 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (20596233)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 頭蓋骨縫合癒合症 / Apert症候群 / エキソソーム / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Apert症候群は、頭蓋骨縫合の早期癒合を特徴とし、原因遺伝子として線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)の点突然変異が報告されている。本研究は、Apert症候群モデルマウス由来骨芽細胞の分化亢進に対する変異特異的siRNA搭載エクソソーム(Ex-siRNAFgfr2S252W)の効果を検証した。骨縫合早期癒合症の病態成立機序として、縫合部の骨芽細胞や線維芽細胞の増殖や分化の異常、アポトーシスの亢進や隣接するdura materからのサイトカイン類の分泌異常などが報告されてきたが最近、縫合部内の間葉系幹細胞の枯渇がCsの要因であることが示された(Menon S. et al. Nat Commun. 2021)。このように病態の解明が進んできた一方、根本的治療開発は未だなされず、侵襲性の高い外科的療法に依存しているのが現状である。本研究は、近年注目を浴びているエキソソームをDDSとして、根本的治療を目指すものであり、現時点で類似の研究は世界的に認められない。 Apert症候群モデルマウス(Fgfr2S252W/+)および野生型マウス(胎生15.5日齢)の頭蓋冠状縫合から骨芽細胞様細胞を単離した(Ap-ObおよびWt-Ob)。野生型マウス血清からエクソソームを抽出しsiRNAの内包を行った。エクソソーム内包siRNA(Ex-siRNAFgfr2S252W)を細胞にトランスフェクションし、蛍光顕微鏡下で細胞内への導入効率を確認した。また、siRNA導入後の骨芽細胞分化および細胞内情報伝達について、定量PCRおよびウェスタンブロッティングにて解析した。Ap-Obではp44/42 MAPK(Erk1/2)リン酸化、runt-related transcription factor 2(Runx2)およびalpha-1 type I collagen(Col1aI)のmRNA発現、アルカリホスファターゼ(ALP)活性が有意に上昇したが、Ex-siRNAFgfr2S252Wの導入後に有意に減少した。以上よりEx-siRNAFgfr2S252Wは、Apert型変異による骨芽細胞の分化異常を効果的に抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソーム内包siRNA(Ex-siRNAFgfr2S252W)を細胞にトランスフェクションし蛍光顕微鏡下で細胞内への導入効率を確認したところ、約75%の導入効率が確認され、非常に高い確率で細胞内へsiRNAが導入されることを明らかにした。
また、siRNA導入後の骨芽細胞分化および細胞内情報伝達について、定量PCRおよびウェスタンブロッティングにて解析した。Ap-Obではp44/42 MAPK(Erk1/2)リン酸化、runt-related transcription factor 2(Runx2)およびalpha-1 type I collagen(Col1aI)のmRNA発現、アルカリホスファターゼ(ALP)活性が有意に上昇したが、Ex-siRNAFgfr2S252Wの導入後に有意に減少した。以上よりEx-siRNAFgfr2S252Wは、Apert型変異による骨芽細胞の分化異常を効果的に抑制する可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として、現在までにin vitro系で確立したエキソソーム内包siRNAの有効性をin vivoで確認していく予定である。胎生期(E15.5~E18.5)野生型マウスおよび当分野で飼育中のcraniosynostosisを発症するアペール症候群モデルマウス頭蓋冠縫合部を発生段階毎に摘出し、器官培養系にてEx-siRNAFgfr2S252Wの投与を行い、アペール症候群モデルマウス頭蓋冠縫合部器官培養系にEx-siRNAFgfr2S252Wを添加し、発生時期特異的に有意な発現上昇および低下を示す各種骨代謝関連因子mRNAおよびMAPK経路因子リン酸化についてそれぞれRT-qPCR、whole mount in situ hybridization、in situ hybridizationおよびIHC、Western blot法にて解析する。また、細胞増殖、分化、細胞死の観点から解析を行う。2024年度後半以降には、妊娠マウスにEx-siRNAFgfr2S252Wを尾静脈投与し、胎仔への移行の確認後、胎仔頭蓋骨発生、形態形成の解析を行う。
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