2023 Fiscal Year Research-status Report
口腔上皮組織におけるストア作動性カルシウム流入の役割とその制御
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23K09438
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
春山 直人 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (70359529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 文恵 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10510018)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カルシウム / ストア作動性カルシウム流入 / 外胚葉異形成症 / 歯科矯正学 / 唾液腺 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯、唾液腺、毛包は、いずれも発生過程における上皮細胞の嵌入と神経堤由来の間葉細胞の集積による上皮間葉相互作用の結果として形成される。このうち、上皮細胞に機能異常があると歯数やエナメル質、毛に異常を示す外胚葉異形成症が引き起こされるが、近年、細胞の「ストア作動性カルシウム(Ca2+)流入 (SOCE) 」の異常がこの疾患に関与していることが判明した。本研究の目的は、応募者が独自に作出した上皮系組織特異的STIM1/2遺伝子欠損マウスを用いて、外胚葉組織である口腔上皮におけるSOCE機能の異常が引き起こす表現型発現のメカニズムを明らかにすることである。今年度は、STIM遺伝子欠損マウスの唾液腺発生・腺細胞機能および細胞内Ca2+動態の解析について解析するとともに、SOCE異常が唾液腺の発生(分化)・分泌機能にどのような影響を与えるのか、cKOマウスの組織を用いて、その表現型からカルシウム応答まで解析した。その結果、唾液腺構造の組織学的な変化は見られなかった。唾液組成の変化がみられ、塩化物イオンの分泌が減少していた。cKOマウス 由来の唾液腺の器官培養による分枝パターンに変化はなかった。Ca2+応答と唾液分泌機能の関係について、カルシウム活性化塩化物イオンチャネル(CACC)等の局在・発現を免疫組織化学染色や Western blotting で確認中である。また、唾液腺細胞・上皮におけるCa2+濃度測定および蛍光イメージングを実施し、細胞内Ca2+濃度の変化の有無を分光分析装置にて定量的に計測し、cKOマウスにおけるSOCEの変化を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画書通りの進捗および結果が得られているものの、カルシウム活性化塩化物イオンチャネル(CACC)等の局在・発現を免疫組織化学染色や Western blotting が困難でやや遅れている。次年度計画していた、唾液腺細胞・上皮におけるCa2+濃度測定および蛍光イメージングを一部先取りして実施しているため、全体としては概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
カルシウム活性化塩化物イオンチャネル(CACC)等の局在・発現を免疫組織化学染色や Western blotting を粘り強く継続する。カルシウム活性化カリウムチャンネルの唾液腺における重要な機能も近年新たに唱えられていることから、カリウムについても機能解析を実施していく。
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Causes of Carryover |
CACCチャネルに関する解析に時間を要しているため、物品費用における消耗品費の支出が当初予想より減少したが、解析を継続するため次年度において使用する計画である。
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Research Products
(5 results)