2023 Fiscal Year Research-status Report
DNA typing analysis of teeth in different environments based on their different degrees of degradation
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23K09489
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堤 博文 日本大学, 歯学部, 講師 (30188594)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヒト特異的DNA / Quantifiler Trio / 分解指標 / STRタイピング / リアルタイムPCR法 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医試料におけるDNA型検査を行う場合、そのDNAの分解度とTotal human genomic DNA(ヒト特異的DNA)の定量値を正確に知ることは、後のDNA型判定に使用する際のDNAを無駄にせず、なおかつ正確に検査することが可能となる。本研究は、PCR阻害に強く、DNAの分解の程度も把握可能なTaqMan法を利用したQuantifiler Trio DNA Quantification Kit(applied biosystems:Trio)を用いて、種々の環境下に放置した歯についての経年的変化によるDNAの量を観察し正確なDNA量を知ることを目的とした。令和5年度は、黒土、腐葉土、川砂および赤玉土に36ヶ月および40ヶ月間埋めた歯を試料とした。それらの歯からDNAを抽出した後、Trioにより、試料DNA中にヒト特異的DNA量およびDNA分解の程度(分解指標:Degradation Index:DI)について検討した。さらに、得られたヒト特異的DNA量および分解指数の値を評価した後、Globalfiler PCR Amplification Kit(applied biosystems)を用いて常染色体STR型判定を行った。その結果、黒土では36ヶ月後のDIの平均は2.1523、40ヶ月後のDIの平均は4.130、川砂では36ヶ月後のDIの平均は4.971、40ヶ月後のDIの平均は26.398、腐葉土では 36ヶ月後のDIの平均は2.878、40ヶ月のDIの平均は6.326、赤玉土では36ヶ月後のDIの平均は2.696、40ヶ月後のDI値の平均は3.037、また、常染色体STR型検出では36ヶ月の試料では22ローカス中12~22ローカス、40ヶ月の試料では14~22ローカス検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当講座所蔵の歯(抜去後20年~30年)を用いて、黒土、腐葉土、川砂および赤玉土の環境に36ヶ月間および40ヶ月間歯を放置し、それらの歯からDNAを抽出した。そのDNAについてTrioを用いて定量および評価を行った後、Globalfiler PCR Amplification Kit(applied biosystems)を用いて常染色体STR型判定を行った。その結果、各環境下における経時的変化による分解指標(Degradation Index:DI)は、黒土では36ヶ月後のDIの平均は2.1523、ヒト由来DNA量は0.256~2.554 ng/μl、40ヶ月後のDIの平均は4.130、ヒト特異的DNA量は0.016~0.287 ng/μl、川砂では36ヶ月後のDIの平均は4.971、ヒト特異的DNA量は5.667~189.748 ng/μl、40ヶ月後のDIの平均は26.398、ヒト特異的DNAは6.966~46.253 ng/μl、腐葉土では 36ヶ月後のDIの平均は2.878、ヒト特異的DNA量は0.0218~0.0361 ng/μl、40ヶ月のDIの平均は6.326、ヒト特異的DNA量は0.034~0.048 ng/μであった。赤玉土では36ヶ月後のDIの平均は2.696、ヒト特異的DNA量は0.013~1.734 ng/μl、40ヶ月後のDI値の平均は3.037、ヒト特異的DNA量は0.053~0.575 ng/μlであった。また、常染色体STR型検出では36ヶ月の試料では22ローカス中12~22ローカス、40ヶ月の試料では14~22ローカス検出された
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は令和5年度と同様に黒土、腐葉土、川砂、赤玉土および黒土と腐葉土混合の条件に放置した歯について経年的変化、すなわち、放置されてからの年月が48カ月間経過後および54カ月間経過後の歯からDNAを抽出し、そのDNAの定量を行う。定量方法は、蛍光色素がDNAに選択的に結合して定量するQubit dsDNA HS Assay KitおよびQubit 1x dsDNA HS Assay Kit、また、昨年度同様に、ヒト特異的DNA配列を標的としたリアルタイムPCR法を利用したQuantifiler Trio DNA Quantification Kitを用いる。これら3種の定量結果について比較検討を行い、そのDNAの分解指標などの評価を行う。さらにその分解度を参考に、Globalfiler PCR Amplification Kitを用いて常染色体STR型検出を行う。さらに、令和2年度からのヒト特異的DNAの定量値および分解指数の値と比較検討し、関連学会などで発表する。
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Causes of Carryover |
(理由)実験経過は順調に進んでいます。本研究を行うにあたっての実験材料が当初予定していた価格が、キャンペーンなどにより安価で購入でき、残金が生じた。 (使用計画)繰越金と令和6年度の助成金を合わせて、本研究を行う際の実験材料(DNAを抽出するのに必要なキット、蛍光物質を用いて定量するQubit dsDNA HS Assay Kit、Qubit 1x dsDNA HS Assay KitおよびPCR阻害に強く、DNAの分解の程度も把握可能なTaqMan法を利用したQuantifiler Trio DNA Quantification Kitなど)の購入およびTrioのDIの結果について、次世代シーケンサーを用いての検証費用にあてたい。
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