2023 Fiscal Year Research-status Report
労働損失予防戦略の革命に向けた頚部有症在宅勤務者に対するマッケンジー法の遠隔応用
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23K09627
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
高崎 博司 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (60404779)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | プレゼンティーズム / 肩こり / マッケンジー法 / 在宅勤務 |
Outline of Annual Research Achievements |
国は、出勤しているが健康問題によって労働遂行能力が低下している状態(プレゼンティーイズム)の軽減を重要課題として位置付けている。 これまでの研究により肩こりがプレゼンティーイズムの主要な要因の一つになることが報告されている。そこで本研究では、無作為臨床試験により肩こりによりプレゼンティーイズムを感じている在宅勤務者に対して、遠隔でのマッケンジー法実施におけるプレゼンティーイズムの軽減効果を検証する。また、その試験を実施するために必要な評価ツールの検証・開発や事前調査も含め、4年計画で実施する。 2023年度の本科研研究に関連する業績概要としては、以下の3編の論文が国際学術誌に掲載された。 論文1:肩こりを有する者に対して、マッケンジー法が経過観察に比べて高い治療効果が得られることを、2群の無作為臨床試験により立証した。本研究では、6週間マッケンジー法を実施したが、マッケンジー法の長期効果・再発効果を検証するには、6週よりも長い介入期間が必要であることが分かった。 論文2:肩こりにより日常生活活動への障害度合いを評価するKatakori Disability Indexを開発し、1因子構造であることを立証した。 論文3:システマティックレビューメタアナリシスにより、運動器疾患を有する者のプレゼンティーイズムに対して、治療者と双方向のコミュニケーションが可能な介入とそうではない介入を比較した。その結果、治療者と双方向のコミュニケーションが可能な介入の方がプレゼンティーイズムを改善するというエビデンスが得られたが、サンプル数が少ないために、エビデンスレベルはvery lowとなった。今後サンプルサイズが増えることでエビデンスレベルがhighになることが分かったため、本科研研究で計画している無作為臨床試験におけるサンプルサイズの算定根拠ともなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
配当予算が申請額を下回っていたため、予算の再配分を検討する必要があった。そこで、外部研究費の獲得を目指し、その結果を待っていたため、一部のプロジェクトの開始が約半年遅れた。しかし、2024年度には予定していた2群の無作為臨床試験の被験者取り込みを始める予定で、プロジェクトの変更をせずとも予定通りの4年間で本研究目的は達成できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、痛みを有する者において、在宅勤務とオフィスワーク、男性女性の4グループにおいて、プレゼンティーイズムに差があるかを検証し、各グループにおけるプレゼンティーイズム関連因子を検証した横断研究の論文化を進める。また、本科研研究の最終プロジェクトである無作為臨床試験の取り込みを今年の夏には開始する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が半年ほど遅れたために、研究の実施と予算の執行状況の遅れが生じた。2024年の夏からは無作為臨床試験が始まるため、残額はその経費に補填する。
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