2023 Fiscal Year Research-status Report
化学物質の次世代影響-出生から青年期の脂質代謝やエピゲノムの作用機序
Project/Area Number |
23K09641
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員研究員 (70632389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 敦子 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (00619885)
田村 菜穂美 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (80836164)
山口 健史 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (80894972)
惠 淑萍 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90337030)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 児の成長 / DNAメチル化 / 脂質代謝物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、出生前向きコホート研究に参加している母児の集団を対象として、出生時のカルテ情報から出生時体重、乳幼児健診、小学校入学時健診、年2回の学校健診の記録を収集し、出生時から学童期の体格と肥満・やせを評価した。臍帯血中の網羅的DNAメチル化率データを用いて、小学6年生の肥満傾向群218名と非肥満傾向群(コントロール群)282名の差異について、エピゲノムワイド関連解析(EWAS)を行った。 小児の肥満傾向よるメチル化変化部位(differentially methylated position; DMP)は多変量解析(robust linear regression (Fox and Weisberg 2011)、および経験ベイズ法(Smyth 2004))を用いて抽出した。多変量解析では、母の年齢、母の学歴、児の性別 および、メチル化値から推定した(Bakulski et al. 2016)細胞組成値で調整した。 児の性別で層別化した解析も実施した。多重比較補正のために、False discovery rate (FDR)を0.05で設定して、FDR補正後のP値0.05未満をエピゲノムワイドの有意水準とした。全体、および男児ではp<0.05に到達するメチル化部位は抽出されなかった。女児のみの解析でp <0.05を満たすメチル化部位が5か所、抽出された。児の成長に重要な脂質代謝物である母乳中のプロズマローゲンなどを測定した。胎児期の環境化学物質の曝露の評価としてすでに得られている有機フッ素化合物などの測定値を用いて、児の体格との関連を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出生前向きコホート研究に参加している母児の集団を対象として、出生時のカルテ情報から出生時体重、乳幼児健診、小学校入学時健診、学校健診の記録を収集し、出生時から学童期の成長と肥満・やせを評価した。ヒトのバイオマーカーの候補である脂質代謝物(プロズマローゲン)などの分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、児の成長を評価するため、学童期以降の青年期の体格データを収集する。日常生活レベルの環境化学物質(有機フッ素化合物やPCB/ダイオキシン類)が児の青年期までの成長にどの程度影響するのか、解析を行う。小児の肥満傾向に関与することが示唆されたCpG部位について、環境化学物質と児の体格の関連を介在するか解析する。バイオマーカーの候補である脂質代謝物やサイトカインについて、エピゲノムと小児肥満傾向との関連を検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度は児の体格の評価、エピゲノムワイド関連解析、母乳中の脂質代謝物の測定など、研究に必要なデータの収集に努めたため、学会発表や論文投稿を行わなかった。また、すでに収集済みの臍帯血検体や母乳検体を用いたため、検体収集の費用が不要となった。2024年度ではデータの収集および生体試料の分析の継続することで研究費を支出する計画である。
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