2023 Fiscal Year Research-status Report
全ゲノム情報を用いた愛玩動物における薬剤耐性肺炎桿菌の実態解明
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23K09660
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
中村 竜也 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (70828326)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Klebsiella pneumoniae / 薬剤耐性 / ESBL産生 / 愛玩動物 / LVFX耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌が問題となる中で、環境や動物由来の薬剤耐性菌がどのようにヒトと関連しているのかは未だ解明されていない。本研究では、愛玩動物の薬剤耐性肺炎桿菌の保菌状況を調査し、ヒト由来株と愛玩動物株を全ゲノム解析などの分子生物学的手法を使用して、分布状況や耐性の獲得過程を調査し、関連性を見出すことを目的としている。2022年および2023年において愛玩動物(主にイヌおよびネコ)の微生物検査を目的として提出された検体から薬剤耐性肺炎桿菌の取集を行った。2022年はESBL産生菌12株およびプラスミド生AmpC産生菌2株を、2023年にはESBL産生菌27株を分離した。分離株に対して菌種の同定、薬剤感受性検査、薬剤耐性遺伝子、プラスミドレプリコン型の検索を行い、薬剤耐性菌の性状、遺伝学的特徴について解析を実施した。結果、PCR法にて菌種は全てKlebsiella pneumoniaeと同定された。ESBL遺伝子型はCTX-M-1系、特にCTX-M-15の検出率が高く、プラスミドレプリコン型はIncFIBが優位であった。薬剤感受性検査では、LVFXの耐性率が97.3%、ST合剤が86.8%とヒトと比較して高い耐性率を示した。また、2023年に検出された株についてバイオフィルム産生能を調査し、高い産生性を示した。本結果を国内の学会にて発表した。今後は、愛玩動物由来ESBL産生菌39株を用いてヒト分離株との遺伝学的背景を全ゲノム解析により明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
菌株収集も当初の予定数確保することが出来、それらを用いて薬剤感受性検査や耐性遺伝子の同定など解析することが出来た。概ね順調に研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで収集した菌株の解析をさらに進めていくとともに、ヒト由来株についても同様に微生物学的および遺伝学的背景を明らかにする。さらに、全ゲノムシーケンスを実施し、ヒトと愛玩動物の関連性と分子生物学的に解析する予定である。
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