2023 Fiscal Year Research-status Report
HPVの組織tropismの解明と発がんに関与するHPV遺伝子型の類型化への応用
Project/Area Number |
23K09676
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大河戸 光章 杏林大学, 保健学部, 准教授 (10276206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 香里 群馬パース大学, 医療技術学部, 准教授 (10780116)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヒトパピローマウイルス(HPV) / tropism |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス(HPV)の発癌性のメカニズムを明らかにするために組織tropismを解析した。264例(60例は除外)から得られた子宮頸部、腟上部、腟下部の3部位の細胞試料から39種類のHPV型の有無を検出した。その結果、178例は近接する3部位のHPV型が完全に一致し、部位間の交差汚染が生じていることが示唆された。各部位のHPV型が異なっていた76症例を用い、腟上部または下部サンプルにのみ検出されたHPV型、子宮頸部サンプルにのみ検出されたHPV型を区分し、子宮頸部に優先的に感染したHPV型、腟に優先的に感染したHPV型を有病率から調べた。その結果、High-risk HPV(HR)型は子宮頸部に、Low-risk HPV (LR)型は腟に優先的に感染すること、possible HR型は優先的な感染部位をもたないことが明らかになりました。興味ある結果の1つはLR型が子宮頸部に優先的に感染しないにも関わらず、実際には子宮頸部サンプルの約30%にはLR型が検出されたことである。よって子宮頸がん検診のHPV検査で用いられる子宮頸部擦過サンプルの1/3は,腟からの混在した感染細胞が検査結果に影響することが明らかになりました。さらにpHR型も同様の割合で混在していることを踏まえると,子宮頸がん検診においてHPV検査で陽性、細胞診検査で陰性(病変なし)にはLRまたはpHR型が子宮頸部を汚染した結果が含まれることが示唆された。この研究成果により特定のHPV型の優先的な組織向性は悪性化の要因であることが証明されただけでなく、子宮頸がん検診におけるHPV検査の結果の理解がより一層進むこと期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
部位間の交差汚染を除外してtropismを評価したことにより、各HPV型が優先的に感染する部位を明確化できたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
各HPV型のtropismに基づいた子宮頸部病変の悪性化との関連性について症例を増やして解析を進める。
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Causes of Carryover |
次年度の謝金に使用するため
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