2023 Fiscal Year Research-status Report
環境汚染物質によるエクソソームを介した自閉症スペクトラム障害の発症機序解明
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23K09679
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
大河原 晋 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (20409387)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | エクソソーム / 自閉スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)の発症と進行には遺伝性要因だけでなく、環境性要因の両方が深く関与していると考えられているが、その分子機構については、不明な点が多く残されている。本研究では、最近のシステマティック・レビューとメタ解析で高い有意性が認められ、かつ環境省モニタリング調査からヒトへの曝露が報告されている環境汚染物質(ビスフェノールA、フタル酸エステル、グリホサート系農薬)に焦点をあて、これら環境汚染物質による胎盤細胞曝露に伴って分泌するエクソソームの血液脳関門および中枢神経系細胞(神経細胞およびミクログリア)におけるASD発症リスク遺伝子の変化について解析することで、新たな発症機序解明とそれに基づく予防法および治療法の開発に展開するための基盤となる知見を得ることを目的とする。本年度は、ヒト妊娠性絨毛癌細胞株由来エクソソームのキャラクタリゼーションに関する以下の実験検討を行った。①エクソソームの単離を成功させるためのヒト妊娠性絨毛癌細胞株の最適な培養条件を確立した。②ホスファチジルセリン(PS)アフィニティー法に基づいたヒト妊娠性絨毛癌細胞株由来のエクソソームの精製方法の条件を検討し、至適な条件を確立した。②標準的なエクソソームマーカ分子であるCD63、CD9のウェスタンブロット、蛍光顕微鏡法による検出条件を検討し、エクソソーム上に検出を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞からのエクソソームの精製法とエクソソームマーカー分子による検出条件に時間を要したため、実験の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
より生体に近い機能を保持した正常細胞のヒト胎盤上皮細胞(HPlEpC)からのエクソソームの精製方法の至適な条件を確立するとともに、エクソソームの血液脳関門透過性を検証するため、in vitroトランスサイトーシス実験を行う。さらに、中枢神経系細胞におけるASD発症リスク遺伝子のエクソソームによる影響について解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
エクソソームの精製方法の条件検討に時間を費やしたため、当初予定した粒子径分布・濃度測定装置による解析が実施できなかったことにより未使用額が生じた。次年度以降、計画にしたがってエクソソームの粒径分布解析を行う予定である。
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