2023 Fiscal Year Research-status Report
カンボジア農村部に住む乳幼児の腸管病原微生物と環境性腸機能障害の関連
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23K09744
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮崎 あすか 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (10854573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 三明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (00285115)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カンボジア / 低栄養 / 環境性腸管機能障害 / 乳幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳幼児期の重要な健康課題である低栄養と低栄養の主たる要因であると考えられている「環境性腸機能障害」の発生、および、その関連要因を明らかにすることを目的としている。環境性腸機能障害とは、不衛生な環境下で栄養吸収に重要な腸管の機能が低下する病態を指す。本研究ではカンボジア王国シェムリアップ州の農村地域の28村の全出生を把握、登録し生後6ヶ月まで2週間ごとの家庭訪問を実施するコホート研究を計画した。 研究実施準備として、カンボジア王国および日本の倫理審査委員会の承認を取得した後、研究実施に関わる現地機関(シェムリアップ州保健局、地域行政機関など)への研究説明会と対象地域内保健センター長および保健ボランティアを対象に調査開始のためのキックオフミーティングを開催した。また、現地調査員をリクルートし、データ取集のためのトレーニングを実施した。 2023年8月より対象地域での出生登録およびデータ収集を開始し、2023年11月末までに、合計100名の出生を登録した。現在、登録した児(1名の辞退者を除く)を対象に2週間毎の家庭訪問を実施しデータ収集をおこなっている。家庭訪問では、対象児の摂食状況と疾病エピソードの聞き取り調査の他、毎月の身体計測(身長、体重)を実施している。2024年1月からは、生後6ヶ月を迎えた児を対象に便検体の収集を実施している。回収した便検体は、カンボジア国立公衆衛生院の協力を得て、施設内検査室内冷凍庫へ保管している。2024年3月31日までに、33名が6ヶ月間のデータ収集を完了し、その内29名から便検体を回収した。 今後もデータ収集を継続して実施する。データ収集は、2024年6月に完了する予定である。データ収集が完了したのち、得られたデータおよび便検体の分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始に必要な準備を完了し、対象者の登録およびデータ収集を開始することができた。その後のデータ収集も順調に遂行することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、登録児の追跡調査にてデータ収集を継続する。データ収集は、2024年6月に完了する予定である。その後、収集したデータの解析および便検体の分析を行う。低栄養の評価は、子どもの身長、月齢、性別をもとにWHO月齢別標準身長を用いてZスコア(LAZ: Length-for-Age Z-score)を算出し評価する。また、便中のミエロペルオキシターゼ、ネオプテリン、α-アンチトリプシンを調べ腸管性機能障害の評価をする。低栄養および腸管性機能障害の状態とその関連要因については、多変量線形回帰分析を用いて総合的に分析を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
便検体の分析を行うのための検体輸送や実験を2024年度に実施することとなり、そのための支出が2024年度に持ち越された。2024年度に持ち越された費用は、実験の準備とその実施のための費用として使用することを予定している。
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