2023 Fiscal Year Research-status Report
地域医療ネットワークを活用した看護情報を共有するための電子糖尿病看護サマリの開発
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23K09835
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
市原 多香子 香川大学, 医学部, 教授 (10274268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 敏美 香川大学, 医学部, 助教 (80782218)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 看護サマリ / 地域連携 / 糖尿病 / 情報共有 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域で暮らす患者への途切れない看護を継続させることは重要である。これに対して申請者は以前より、糖尿病看護の地域連携を促進するための実態調査を行い、看護情報を効率的に共有できるツールや仕組みを整備する必要性を指摘し、看護サマリを検討してきた。そこで本研究では、AI による看護情報の分析を見据えて、新しい糖尿病看護サマリの電子フォーマットを開発し、決められた情報の項目ごとにデータを集積し解析することによって、糖尿病治療の中断者の救い上げや重症化予防につなげる情報を同定することを目的とする。本研究によって、看護職が日本のどこにいても平準化した看護情報を効率的に活用できれば、データベース化やAIによる分析が可能となり、個人にあった最適な看護を提供するための基盤を構築できる。 申請者らが実施した「香川県における看護職連携に関する実態調査」および、地域連携パス等に関する図書・文献から、2 型糖尿病成人患者がその人らしく生きることに焦点を当てたフォーマット案を作成した。次に、香川県の主要な病院・診療所・訪問看護ステーション等に勤務する糖尿病看護の有資格者からの意見を聴取し、フォーマットに追加すべき患者情報や優先度を検討し、フォーマット案を精練化させた。さらに書きやすい様式になるように文字の大きさ枠線の太さなどを見直した。 また糖尿病看護情報提供書のフォーマット案を作成するまでのプロセスについて、香川県糖尿病療養指導士看護ネットワーク「Qの会」が毎年開催している研修会(2023.6.25)において発表し、香川県の会員に報告するとともに広報を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病看護情報を記載するフォーマット案を作成できたため、順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
香川県内の医療施設において、新しく開発した糖尿病看護情報を記載するフォーマット案を用いたフィジビリティスタディを実施する。アンケートの集計と統計的な検定から、糖尿病看護情報提供書の記載率や要した時間に差がないかを確認し、社会実装に向けてフォーマット案を完成させる。 【令和6年度の研究計画】 協力医療施設における看護情報提供書のフィジビリティスタディ 研究協力者が勤務する病院において、今回開発したフォーマットを使用して看護情報提供書を作成してもらい、その取り組みを一施設あたり6か月間実施する。作成された看護情報提供書は、連携先の施設に勤務する糖尿病看護に携わる看護職に送付される。糖尿病看護情報提供書に記載した看護師と、それを受け取った連携先の施設に勤務する看護師の両者に、新しいフォーマットを評価してもらうためのアンケートに回答してもらう。アンケートは各施設に準備した回収箱に投函してもらう。各施設の研究協力者には、糖尿病看護情報提供書のコピーとアンケート用紙を回収を依頼する。 アンケートを集計し統計的検定を行う。看護師歴・資格の有無・手順書の説明などによって、看護情報提供書の項目の記載率や記載にかかる時間等に差がないか、フォーマットの使いやすさ・効率性・満足度の観点から分析する。さらに質的な分析により、情報の優先度、追加すべき情報を明確し、社会実装用の糖尿病看護情報を記載するフォーマットを完成させる。分析は研究補助者を雇用して行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した理由は以下の4点である。 ①令和5年度の研究計画は、令和4年度に前倒しにて順調に実施することができたため、調査協力者への謝金や研究補助者への謝金の支出が発生しなかった。②コロナ感染症対策の基準が緩和したことにより、対面のよる打ち合わせが可能となったことから、研究協力者に準備する予定のパーソナルコンピュータ2台を購入しなくて済んだためである。③令和5年度は研究協力者が香川県内で報告したことにより、出張費がかからなかった。④研究テーマに関する看護情報提供書のフォーマット類を印刷するまで計画していたが、現在、フォーマットの精錬化の作業が終了していないため、令和6年度に使用する予定である。
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