2023 Fiscal Year Research-status Report
透析困難症の予防に向けたSlow Breathing Exerciseによる介入効果の実証研究
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23K09837
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
種市 輝 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (10883639)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 自律神経 / 心拍変動 / 看護技術 / Slow Breathing Exercise / 血液透析 / 透析困難症 |
Outline of Annual Research Achievements |
末期腎不全の患者に対する治療の中心は、腎代替療法における血液透析である。血液透析は生体内の余分な水分や老廃物を除去する優れた治療法ではあるが、血液透析中に伴う合併症のひとつに血圧低下を中心とした透析困難症を発症する場合がある。この透析困難症の発症によって患者は、水分や老廃物の除去が不十分な状態で治療を中断せざるを得ない。 血液透析中の血圧低下の要因は、除水による循環血漿量の減少や、その代償機構である自律神経調整機能の低下が関連していることが多く報告されている。透析困難症と自律神経調整機能の低下が密接に関連していることを踏まえると、看護介入によりその調整機能を高めることで透析困難症を予防でき、かつ安定した継続治療が行うことが可能ではないかと考えた。 そこで、透析困難症を予防する看護介入方法として、深くゆっくりとした呼吸活動を毎日継続して行う深呼吸法(Slow Breathing Exercise : SBE)に着目した。SBEは血液透析を導入していない慢性腎臓病患者に対し、有害事象を起こさず自律神経調整機能を高めることが明らかとなっており、血液透析患者に対しても同様に自律神経調整機能を高め、透析困難症を予防することが期待できると考える。 本研究は、このSBEの効果に着目し、血液透析患者の透析困難症予防に向けた看護介入方法としてSBEを実施し、自律神経調整機能が向上するかを明らかにすることを目的とする。 初年度である2023年度は、研究実施に向けた環境整備とし、患者の生理学的データ測定をするための機材購入をした。また、研究協力施設を選定し患者の生理学的データの測定を計画していたが、選定に難渋しており、現在、研究活動を実施するためのの調整を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の研究計画では、所属機関の倫理委員会の承認および研究協力施設の選定および協力、患者の生理学的データの測定であった。しかし、研究協力施設の選定に難渋し、生理学的データ測定に至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究遂行にあたり、研究機関への倫理申請承認を得て、可及的速やかに研究施設の選定および協力を得る。また、臨床においてデータ測定を行い症例数を増やし、これまでの研究結果と照会しながら、詳細な分析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
患者の循環動態・自律神機能等の生理学データの測定に必要な機材は購入したが、測定に伴う消耗品等の使用がなかったため、次年度利用額が生じた。 次年度である2024年度は、生理学的データ測定に伴う消耗品の購入や研究協力患者の謝礼金支払いを計画している。
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