2023 Fiscal Year Research-status Report
物質使用障害者の回復プロセスの解明と地域生活支援モデル開発
Project/Area Number |
23K10008
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山下 亜矢子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90614363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤崎 安昭 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80295245)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 物質使用障害 / 地域支援 / 生活支援 / リカバリー / 再燃リスク / 生活の質 / 自助グループ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、物質使用障害者の回復支援システム構築に向け、地域生活支援モデル開発を行うことである。 2023年度は、物質使用障害者に対する地域生活の実態、自助グループ参加による治療的効果、サバイバーの回復に伴う経験知の様相、依存症医療のエキスパートによる回復支援について文献検討を行った。文献検討の結果、物質使用障害からの回復に関連する要因として、安心・安全な場での自己開示、配偶者やパートナーの存在、治療継続、就労が示された。また、物質使用障害者のQOLは必ずしも断薬期間に関連せず、社会的支援が乏しくなるという状況が明らかとなった。薬物使用による厳罰政策や物質使用障害者に対するスティグマは、医療や福祉へのアクセスを阻害する要因となることや当事者の社会的孤立や治療中断は物質使用障害の重症化につながり、回復へ支障を来すため、保健福祉医療、司法など多機関連携により当事者の安定した地域生活を営むための支援が必要となることが示された。また、治療的関りとして、オープンダイアローグによる治療的アプローチ、ワークブックを活用した疾病理解とセルフマネジメントの促進、マインドフルネスなど五感に対するアプローチによる安心安全な感覚の獲得と回復の実感を得ることの必要性が示された。 文献検討の結果を基に、研究実施に向けて研究倫理審査委員会の承認を得るための準備を進めた。また、ダルクへの訪問や自助グループ参加を中心としたフィールドワークを行い、当事者の地域生活の様子やニーズについて理解を深めた。専門学会参加により専門知識を深め、自助グループ参加により当事者の体験発表を聴くことにより、回復に必要となる支援について示唆を得ることができた。 今後は国内外にてフィールドワークを行い、当事者と支援者を対象とした調査を計画的に実施し、研究成果を学会発表や論文化にて計画的に発表できるように研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に物質使用障害者に対する地域生活の実態調査を実施する予定であったが、フィールドワークや文献検討に時間を要し、調査開始が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、研究を進める。
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Causes of Carryover |
初年度に物質使用障害者に対する地域生活の実態調査を実施する予定であったが、フィールドワークや文献検討に時間を要し、調査開始が遅れている。今後は研究計画に従い調査を実施する。
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