2023 Fiscal Year Research-status Report
ALSの非運動性生活障害の解明と看護支援方略の構築
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23K10020
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
金丸 恭子 京都光華女子大学, 健康科学部, 助教 (40908290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 美穂子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00455031)
片寄 亮 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20825963)
山口 未久 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (20771132)
番所 道代 京都光華女子大学, 健康科学部, 教授 (50525318)
漆谷 真 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60332326)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 情動調節障害(PBA) / 非運動症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、本邦の筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis:ALS)患者における情動調節障害(Pseudobulbar affect: PBA)の保有・治療状況の実態把握と、PBA発症の関連要因及び発症時期を把握し、PBA症状による在宅療養生活・意思決定の困難状況の実態を明らかとすることを目的としている。 令和5年度は、PBAの保有・治療状況の実態把握として、近畿圏6都道府県で実施されたアンケート調査結果のデータベース構築及び解析を行なった。得られた結果は学会にて成果報告を行なった。153名を解析対象者とし、CNS-LS(Center for Neurologic Study-Lability Scale)を用いた評価において、約3割の者にPBAを認めた。そのうち医師によるPBAの診断を受けた者は2.3%であり、精神的な薬物療法歴がある者は7.0%、精神科受診歴のある者は7.0%、臨床心理士の面談を受けた者は4.7%であった。これらのことから、約3割にPBAを認めた一方で、未診断や治療介入が十分でない現状が考えられた。 次に、PBA発症に関連する要因及び発症時期を把握することを目的として、A大学病院に入院中のALS患者を対象にリクルート及びベースライン調査を実施中である。ベースライン調査後は3ヶ月毎の追跡調査を実施し、PBA症状や発症の有無、PBA発症に関連する要因や時期についての検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PBAの保有・治療状況の実態把握として、自治体に調査依頼を行い、特定医療費受給者証を所持しているALS患者にアンケートを実施している。令和5年度の予定では、調査を終えた6都道府県以外の近畿圏および全国調査に拡大する予定であったが、全国調査を行うための倫理審査やアンケート配布準備を行っている段階である。 また、PBA発症に関連する要因及び発症時期を把握することを目的に、大学病院に入院中のALS患者へリクルートを実施していた。しかし、ALS患者への新たな治療方法の出現によってこれまで入院による点滴治療を行っていたところ、外来での内服治療が可能となったことで入院患者の減少を認めたことから入院中のリクルートが進まず、現在4名までのリクルートとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度中に全国の自治体(県、政令指定都市)へ調査への参加協力を順次依頼し、アンケート調査を実施する。令和7年度以降に得られたデータを分析可能なデータセットに加工し、PBA有病率及び治療介入の実態について分析を進める。 また、大学病院でのリクルートに関しては、令和6年度中に入院患者に加えて、外来通院中のALS患者へも調査協力を依頼する予定としており調査対象者を確保に務める。ベースライン調査後は3ヶ月毎の追跡調査を行い、令和8年度まで順次縦断調査を実施し、PBA発症状況や発症の関連因子や発症時期の同定を行う。
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Causes of Carryover |
PBAの保有・治療状況の実態把握として、自治体に調査依頼を行い、特定医療費受給者証を所持しているALS患者にアンケートを実施している。令和5年度の予定では、調査を終えた6都道府県以外の近畿圏および全国調査に拡大する予定であり、自治体への協力依頼のための交通費や郵送調査費用を請求していた。しかし、全国調査を行うための準備に時間を要していることから実施に至らなかった。令和6年度は、全国調査を行うための準備及び実施に向けて取り組んでいくことから、次年度使用額が発生した。
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