2023 Fiscal Year Research-status Report
NICU看護師の倫理的課題に着目した専門職支援プログラムの構築
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23K10145
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
境 美砂子 金城大学, 看護学部, 講師 (70759860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一ノ山 隆司 金城大学, 看護学部, 教授 (20573166)
田中 浩二 金沢大学, 保健学系, 教授 (40507373)
長田 恭子 金沢大学, 保健学系, 助教 (60345634)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | NICU / 道徳的苦悩 / 倫理的意思決定 / トラウマ |
Outline of Annual Research Achievements |
重篤な疾患をもつ子どものケアをしているNICU看護師が抱いている道徳的苦悩について現象学的手法を用いて明らかにした。 研究対象者は、一般社団法人日本周産期・新生児医学会が認定した基幹施設で勤務するNICU看護師11名であった。語られたケースは、食道閉鎖を合併した18トリソミー、ポッター症候群、13トリソミー、肝不全、心臓腫瘍などであった。結果として、語られたデータを解釈するなかで表出してきた意味から、日本のNICU看護師が体験している道徳的苦悩として、9つのテーマと、「組織的な制約」「後悔」「共有できない体験」3つのクラスターが抽出された。そして、道徳的苦悩の基盤は、看護師の「心の傷(トラウマ)」であった。 子どもの最善の利益と意思決定にかかわる看護師の体験にフォーカスを当てたことによって、「子どもの孤独な死への直面」「命の価値づけへの罪悪感」「何もできなかったことの自責感」など、看護師が体験している無力感の意味が新たに抽出された。看護師は様々な道徳的苦悩を体験しているが、それを個人的問題として処理するしかない状況であり、しかもそれは個人を否定するような感情が生じさせる体験であるため、トラウマに発展すると考えられた。道徳的苦悩の緩和のために、看護師のモラルレジリエンスの向上や心理的安全性の確保などの必要性が示唆された。 NICU看護師が体験している道徳的苦悩の根幹にある無力感の意味が明らかになった。この研究結果は、NICU看護師が抑圧してきた想いを開放し、重篤な疾患をもつ子どもをケアするうえで避けることができない道徳的苦悩を緩和するために貢献する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、道徳的苦悩を経験しながらも、看護師が仕事を継続する意味について明らかにすることを目的に、Colaizziの7段階の手法を用いた現象学的方法で分析中である。今年度中に論文を執筆、発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
NICU看護師が経験している道徳的苦悩の本質、そして道徳的苦悩を持ちながらも仕事を継続する意味についての知見をもとに、倫理教育プログラムを作成する。
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Causes of Carryover |
令和5年度は、調査のため旅費を申請していたが、その実施はなかった。次年度は、NICU看護師のインタビュー内容の分析結果をもとに、倫理教育プログラムを立案する予定である。また、研究発表を学術集会、学術誌に行う予定であるため、そのための費用も必要となる。
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