2023 Fiscal Year Research-status Report
育児と介護のダブルケアラーが夫婦協働でケア力を高める健康支援プログラムの開発
Project/Area Number |
23K10164
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
寺田 由紀子 帝京大学, 助産学専攻科, 講師 (40738019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉沢 豊予子 関西国際大学, 保健医療学部, 教授 (80281252)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ダブルケア / ケアリング・マスキュリニティ / 育児と介護 / ジェンダー平等 / 健康教育 / 妊娠期 / 更年期 / 男性のセルフケア |
Outline of Annual Research Achievements |
日本において少子高齢化とともに出産の高齢化が進み、親の介護と未就学児の育児が同時に進行する「ダブルケア」を行う者が増加している。ダブルケアは、狭義では育児と介護の重なりを示す日本で作られた用語である(広義のダブルケアもある)。海外では「Sandwich Generation」という言葉で知られており、研究が進められている。そのため、今年度は、先行研究として、「サンドウィッチ世代(ダブルケア世代)の健康に影響を与える要因に関する文献検討」を行い、学会発表を行った。男女ともにメンタルヘルスに関する課題もあるが、男性と女性では健康に与える結果が違う研究もあった。具体的には、介護している子育て中の女性は精神的健康に悪影響があるものの身体的健康は良好であり、男性の場合は身体的健康に悪影響があるなど、男女で健康に及ぼす影響に差がみられた。子育てが介護負担を軽減するという海外の研究結果もあったことから、日本におけるダブルケア(育児と介護)と健康に関する研究を男女別に行う意義は大きいと考える。 19K11098の研究になるが、ケアリング・マスキュリニティがセルフケアと男性の身体的健康・精神的健康に与える影響は、国際学会ICNにて発表した。本研究結果によると、ケアリング・マスキュリニティの下位尺度「支配の拒絶」が、身体的健康にも精神的健康にも直接影響を与えていた。男性性に特徴的な支配を拒絶することが、健康にも良い影響を与えることが示唆され、本研究課題にもこの結果を適応させる所存である。 ダブルケアラーへのヒアリングなどにより、育児や介護、家事にかかる負担は女性に大きく、更年期とダブルケアが重なるケースが多いことから、女性の健康に対する研究がより必要であると考え、研究計画を立てている。2024年度の実施を目指して準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、他の科研費課題に関する研究も行っていたためである。その課題もダブルケアに関するものであり、本課題にも共通している。また、本研究課題の研究遂行にあたり、更年期女性を対象とし、複数の大学のと共同研究を行うつもりで調整を図り、準備を進めていたが、諸事情あり、現在は新たな方策を検討している最中である。しかしながら、研究の基盤となる文献検討は完了し、学会発表も行ったため、当初の予定通り、更年期女性を対象とした研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
ダブルケアラー男性の健康に関する研究には、19K11098における研究で開発した「ケアリング・マスキュリニティ」尺度を用いて、新しい男性性であるケアリング・マスキュリニティが、育児と介護という2つのケア実践にどのように繋がっているかを明らかにする。また、19K11098の研究で行った、ケアリング・マスキュリニティがセルフケアとダブルケアラー男性の健康にどのような影響を与えているかを調査する。 ダブルケアラー女性の健康に関する研究は、更年期女性に対して、ダブルケアを担うことがセルフケアにどのような影響を与えるか、調査を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究計画遂行のために見積もりを行っていた旅費を使用しなかったため。
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