2023 Fiscal Year Research-status Report
心の健康問題をもつ若者における地域保健と学校保健の連携による支援システムの構築
Project/Area Number |
23K10214
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Research Institution | Kiryu University |
Principal Investigator |
間戸 美恵 桐生大学, 医療保健学部, 准教授 (20868294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 教授 (20240236)
黒岩 あゆみ 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 助教 (20988563)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 連携支援 / 保健師 / 養護教諭 / 不登校 / ひきこもり / 支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、心の健康問題をもつ学齢期の子供や若者を対象とした地域保健と学校保健の連携による切れ目ない新たな支援システムの構築を目指すものであり、研究は3段階で実施する。第1段階は、担い手としての保健師と養護教諭約10名に、半構造的インタビュー調査を行い、両者の連携による支援の現状と課題に関する担い手の認識を明らかにする。次に第2段階として、第1段階の研究結果から得た知見に基づいて、両者の連携支援の実態と、個人・システム・環境レベルで捉えた課題に関する調査項目を作成する。そして、全国の保健機関及び公立学校から地域と機関(または学校種)を考慮して層化無作為抽出した計3,000名の保健師及び養護教諭を対象として、質問紙調査を行う。第3段階は、これらの研究成果に基づいて、地域保健と学校保健の担い手の連携による支援活動を促進するための新たな支援システムについて検討し、その普及を目指す。 本研究課題は前年度の2022年より着手しており、A県において研究協力の同意を得た保健師10名と養護教諭8名に半構造的インタビュー調査を実施した。今年度は引き続き研究の第1段階にあたり、前年度の調査で蓄積した18名の音声データの文字起こし及び質的記述的分析を行った。分析結果の厳密性を確保するために研究者間の検討を継続して行い、さらに調査対象者のうち数名に結果の内容に関するメンバーチェッキングを依頼し、妥当との回答を得た。分析は職種ごとに行い、現在は養護教諭8名のデータ分析が終了し、結果の公表に向けて準備を進めている。また、保健師10名のデータの分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、研究の第1段階としてデータの質的記述的分析を行い、研究結果をまとめて公表するとともに調査対象者への結果報告を行い、さらに研究の第2段階の質問紙調査に向けて、調査項目の作成と調査対象者を抽出する計画であった。インタビュー調査で得た音声データの文字起こしと分析の過程は、地域保健または学校保健の担い手としての連携支援の現状と課題に関わる認識や経験について、対象者の語りの意図や文脈を慎重にくみ取りながら正確に文字起こしを行い、着実に分析・検討を進め、第2段階の研究に繋げていく必要があると考えた。そのため、当初予定した以上に逐語録の作成と、続いて行う質的記述的分析に時間を要しており、本研究の進捗状況は計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
第1段階の調査で得られたデータの分析を進める。研究成果をまとめて学会発表等で公表するとともに、調査対象者への結果報告を行う。次に研究の第2段階として、第1段階の研究の知見と先行研究の結果等に基づいて、地域保健と学校保健の連携による支援の現状と課題に関する調査項目を作成し、全国から層化無作為抽出した計3,000名の保健師及び養護教諭に郵送法による質問紙調査を行う。調査時期は、研究の進捗状況をふまえて2024年度後半の実施を計画し、準備を進める。得られたデータを統計的に分析して、全国の実態と課題とその地域別の特徴、支援活動に影響する要因を明らかにする。第1段階と第2段階の研究成果に基づいて、地域保健と学校保健の担い手の連携による支援活動を促進するための新たな支援システムの構築について検討する。新システムをまとめたパンフレットを作成して、学会や地域の報告会等で発信する。また、研究成果は国内外の学会と学術雑誌に発表して広く普及を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度に計画している第2段階の全国調査に向けて、今年度中に質問紙の作成等の準備を進める予定であったが、進捗状況がやや遅れている。そのため、質問紙調査の調査用紙と封筒(送付・返送用)の購入及び封筒印刷に要する費用の使用を先延ばしにしたことにより、使用額変更が生じた。 (使用計画) 全国調査の準備を進める段階で、当初予定した通りの調査用紙と調査・報告用封筒の購入費用、封筒印刷費用として使用する予定である。
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