2023 Fiscal Year Research-status Report
Neural mechanisms of antisocial behavior
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23K10464
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Research Institution | BIWAKO PROFESSIONAL UNIVERSITY OF REHABILITATION |
Principal Investigator |
三谷 章 びわこリハビリテーション専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (50200043)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 反社会的行動 / 内側前頭前皮質 / ニューロン活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
他者に対して急激に怒りを爆発させる、暴力的になるなどの反社会的行動はその個人のQOLを低下させるだけでなく、コミュニティの安寧を劣化させる。この反社会的行動は「精神障害の診断と統計マニュアル第5版」(DSM-5)では秩序破壊的・衝動制御・素行症群に分類され、リハビリテーションの臨床において様々な対象者に観察されるが、その基盤となる神経機構については未明な点が多い。これまで内側前頭前皮質に損傷を受けたヒトでは欲求不満耐性が減弱し衝動的攻撃性が出現することが報告されており、内側前頭前皮質が反社会的行動に何らかの関与をしていることが示唆されている。雄マウスを同一ケージで群飼育すると、他者を激しく攻撃する攻撃行動を示すマウスが観察される。本研究ではそのマウスの内側前頭前皮質の前辺縁皮質にマルチユニット用記録電極(電極先端周囲の2-3個のニューロンが発生する活動電位を記録できる)を埋め込み、頭部に独自開発したマウス用マルチユニット無線送信装置を装着して、他のマウスと一緒にオープンフィールドボックスに入れ、集団行動中に起こる咬みつきなど攻撃行動発現時の前辺縁皮質ニューロン活動の変化を観察した。その結果、前辺縁皮質のニューロンは他者を激しく攻撃する時に活動増加したが、攻撃を受けているマウスや穏便な行動を示すマウスの前辺縁皮質のニューロンでは活動増加は観察されなかった。以上の結果は、前辺縁皮質の活動亢進が反社会的行動の発生に関わっている可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた集団行動中の内側前頭前皮質のニューロン活動を無線記録することができた。また、攻撃行動にともなって活動変化するニューロン活動が記録でき、今後の解析対象として期待できた。
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Strategy for Future Research Activity |
内側前頭前皮質において前辺縁皮質と相反的に活動することがこれまでの研究で明らかになっている下辺縁皮質の活動記録を行い、前辺縁皮質と下辺縁皮質の活動バランスという観点から反社会的行動発現の原因となる内側前頭前皮質の機能変化について検討する。
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Causes of Carryover |
マウス用マルチユニット無線送信装置の作製に多くの電子部品を使った試行を繰り返すことを想定して支出を準備していたが、幸いにも助成金をあまり支出することなく完成させることができたので次年度使用額が生じた。次年度はこの使用額をニューロン活動解析用ソフトプログラムの開発に充て、通常の動物費などの翌年度分助成金と合わせて使用する計画である。
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