2023 Fiscal Year Research-status Report
身体化された認知による言語理解の深部脳機能ネットワーク仮説の提案と検証
Project/Area Number |
23K10560
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
今井 絵美子 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (20827589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 祥雅 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 上席研究員 (60462876)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 身体化認知 / 抽象語理解 / 拡散思考 / 心象 / エミュレーション / 背側前部帯状回 / 深部脳活動 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、身体化された認知が抽象語を含む言語の理解の基盤であることを神経科学的に検証することである。 本年度は、背側前部帯状回(dACC)を中心とする深部脳機能ネットワークが身体化認知を推進するという仮説の検証を進めた。後頭部脳波アルファ強度から算出される事象関連深部脳活動度(ER-DBA)の減少(事象関連脱同期、ERD)と増大(事象関連同期、ERS)はdACCのダイナミクスを反映し、それぞれdACCによる拡散思考と収束思考の推進を表す。抽象的概念の理解とは、記憶に基づき形成した心象を運動ネットワークを使ったエミュレーションにより知覚することである。心象の形成とエミュレーションはそれぞれ拡散思考と収束思考が基盤であることから、ER-DBA波形のパターンから抽象的理解が促進されたことを確認できるはずである。そこで、健常若年者を対象に、状況絵を提示した後に抽象的概念を表すオノマトペを提示し、提示が状況を合理的に説明できるかを判断する課題を実施し、課題遂行中の脳波からERD-DBA波形を抽出した。鮮明なERD・ERSを形成しているときには正しく判定できる一方、ERDの形成が曖昧な場合には誤判定となることを見出し、仮説に整合する結果が得られた。 次に、刺激絵提示中の拡散思考の内容を明らかにするため状況絵を説明する語を列挙する課題を実施し、列挙された語は絵に描かれた物に限定されず、動作や情動を表す語に派生したことを見出した。エピソード回顧には動作や情動の知覚を伴うことから、拡散思考ではエピソードを回顧する心象エミュレーションが推進されたと推察された。以上実験から得られた知見を統合すると、dACCを基盤とする心象エミュレーションが抽象的概念の理解を促進する可能性があり、当初立てた仮説の正当性が支持された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は抽象語理解には、言語や状況を理解するのと共通の機能である心象エミュレーションが関与することを示唆することができた。これにより、実験課題の条件を抽象語に設定する段階へ進めることが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
背側前部帯状回の活動を反映する事象関連深部脳活動および事象関連電位を解析手法として、抽象語理解の神経科学的基盤を明らかにするため、心象エミュレーションを起動する語および状況の理解課題を作成し、脳波計測実験を実施する。課題条件に抽象語も採用し、解析に筋電や音声の音響解析を加え、身体化認知の証跡を得ることで方法論の有効性を確認する。
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Causes of Carryover |
感染症流行状況を鑑み、脳波計測実験よりも調査実験にシフトを置いた。次年度は被験者数を増やして脳波計測実験を実施する。これに伴い、被験者試験に係る機器および消耗品調達、論文執筆に係る費用、ならびに、研究成果発表に係る費用に使用する計画を立てている。
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