2023 Fiscal Year Research-status Report
13C-パルミチン酸を用いた運動時における脂質代謝調節機序の解明
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23K10585
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
上田 真也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (40616926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 英博 森ノ宮医療大学, 医療技術学部, 教授 (90514000)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 13C-パルミチン酸 / 13C安定同位体比分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アスリートの運動開始時における呼吸・循環機能の動特性を定量的に評価する際,体内のエネルギー代謝動態についても同時にモニタリングすることができれば,アスリートの運動時作業効率を決定する上で,エネルギー代謝調節機序の理解が深まる.異なる競技のアスリートが運動開始時に如何なる代謝応答を起こしているのかが明確になれば,競技特性に応じたトレーニング方法の立案や最適な栄養学的アプローチにも応用可能になる. 本研究では,システム動態解析及び13C安定同位体比分析を用いて,運動時における脂質代謝機能の動的特性について明らかにすると同時に,競技特性に応じたスポーツ選手の最適なパフォーマンス評価やトレーニング法および栄養学的アプローチの開発を目指す. 初年度である1年目は、実験モデルの構築を目指し、一般男子大学生を対象とし,安静時における脂質代謝反応のダイナミクスを定量的に解析することを目的とした. 経口投与した13C-パルミチン酸(脂肪酸)の安静時における代謝動態や速度を解析し,外因性および内因性脂質の代謝応答の違いについて評価した.その結果,安静時における13C-パルミチン酸(脂肪酸)の代謝動態や速度を解析し得る13C-パルミチン酸(脂肪酸)摂取量の適量について特定することができた.また,経口投与した13C-パルミチン酸(脂肪酸)の安静時における代謝速度は,最大酸素摂取量に対する換気性作業閾値の割合(VT%VO2max)と有意な正の相関関係を示すことを確認した.次年度以降,運動時における脂質代謝反応の動的機能について明らかにすることで,競技特性に応じたスポーツ選手の競技力向上に資する最適なパフォーマンス評価やトレーニング法の開発が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標である実験モデルの構築を達成した.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である次年度は,一般男子大学生を対象とし,異なる強度の運動負荷に対する脂質代謝反応のダイナミクスを定量的に解析することを目的とする. 事前に,最大酸素摂取量(VO2max)および換気性作業閾値(VT)を測定する.事前測定のVTから設定した高強度試行(110%VT),低強度試行(90%VT),安静試行の3試行を1週間の間隔をあけてランダムに実施する.13C-パルミチン酸(脂肪酸)を経口投与し,10分間の安静を保った後,各運動をステップ状に10分間負荷する.脂質の燃焼動態の測定には,13C安定同位体比分析システムを導入し,13Cを標識したパルミチン酸(脂肪酸)の13C安定同位体比を赤外分光分析装置(POC ONE PLUS,大塚製薬社製,東京)を用いて測定する.呼気ガス分析諸量の測定には,呼気ガス分析装置(AE-310S,ミナト医科学社製,東京)を用い,酸素摂取量,二酸化炭素排泄量,分時換気量,呼吸数,一回換気量,ガス交換比,呼気終末O2分圧および呼気終末CO2分圧をbreath-by-breathで測定する.心拍数はテレメータ心電図計(Life Scope8,日本光電社製,東京)を用いて1拍毎に連続モニターし,血圧は自動血圧計(EBP300,ミナト医科学社製,東京)を用いて測定する.
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった13C安定同位体比分析に使用する消耗品の納品が遅れたことから,次年度使用に繰り越した.次年度,当該の消耗品を納品予定である.
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Research Products
(4 results)