2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the health-promoting mechanism of interval exercise in mice and humans: development of methods for evaluating its effectiveness.
Project/Area Number |
23K10607
|
Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
樋口 京一 名桜大学, 健康科学部, 教授 (20173156)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 大貴 信州大学, 先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所, 助教(特定雇用) (90823287)
増木 静江 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70422699)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 運動 / プロテオーム解析 / アミロイドーシス / 血液 / マウス / 補体系 / ストレス反応 / アミロイド関連タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
さまざまな健康増進効果を示す「運動」の生理学的作用機序の科学的解明は十分ではない。本研究では運動の健康増進効果のメカニズムをまずマウスの実験系で明らかにし、その結果をヒトでの運動の健康増進処方へ応用することを目的とする。研究代表者らは、インターバル速歩の作用機序として、炎症マーカーNFκB遺伝子のメチル化促進による慢性炎症の抑制を提唱し、健康増進効果の評価に使用してきたが、作用機序の全貌解明に基づいたヒトへの応用には、マウスを用いた詳細な解析を進めて、人での簡便・正確な運動効果の評価方法に応用する必要性を認識してきた。これまでにマウスの加齢に伴うアミロイドーシスへのインターバル走行の抑制効果の解析から、P53、P38MAPKシグナル伝達経路を介したミトコンドリア機能促進と熱ストレスタンパク質活性化という新規の健康増進の作用機序(ストレス適応力の増強)を提唱した。本研究では①マウス血漿のプロテオーム解析(タンパク質動態・機能の網羅的解析)によるバイオマーカー候補の探索、②ヒトでのインターバル速歩の実施における健康効果指標のデータ収集、③新規のバイオマーカーによるインターバル速歩の健康増進の評価法の提案を目的とする。 本年度は、マウス血漿のプロテオーム解析により人での運動効果の評価に使用可能なバイオマーカー候補を探索した。マウスを4群 ①運動無、アミロイド無、②運動有、アミロイド無、③運動無、アミロイド有、④運動有、アミロイド有、に分割し、各群のマウス(n=6~8)の血漿をプールして定量プロテオーム解析(iTAQ/TMT)を外部に委託して実施した。解析の結果、運動により補体系の分子(C1q, C3, Cfhなど)が増加し、アミロイド関連タンパク質(ApoE,Clu, Vtnなど)が減少した。この変化は運動ストレス後の筋肉増強やアミロイド抑制に関与すると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス血漿のプロテオーム解析は順調に進捗し、比較的明確な解析結果が得られた。補体系の増加(活性化)は、血漿中の補体抑制分子(クラステリン、ビトロネクチンなどの)低下によっても引き起こされていると考えられる。一方でNFkBなどの炎症関連分子は増大していないので、これまでのインターバル速歩の効果の新たなメカニズムを説明できるのではないかと大いに期待している。 しかし研究代表者が、信州大学から本年度に移動した名桜大学(沖縄県)では、解析設備が全く不足しており、プロテオーム解析の結果の検証(Western blot解析など)が実施できていない。またヒトでの解析のための準備も遅れているので、やや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度赴任した名桜大学での研究設備を充実させることで研究の推進をはかる。各マウスの血漿を用いてWestern blot解析や必要に応じてELISAなどを用いて①補体成分(C1q, C3,C5,C9 C4など)や②アミロイド共沈着タンパク質でもあり、補体の活性化抑制効果が報告さえているクラステリン, ビトロネクチン, ApoE などの定量を試みる。その為に新たなWestern blot転写装置の購入や抗体の購入を予定している。 ヒトへの応用に関しては信州大学の熟年体育大学参加者の血液を用いて、開始する予定で、研究分担者の増木(信州大学)と研究倫理申請などについて相談を進めている。ヒト用の抗体の購入や、分析の実施方法について、研究分担者である宮原と協議を行っている。
|
Causes of Carryover |
主要な研究項目であったマウスの血漿プロテオーム解析は無事終了し、良好かつ興味深い解析結果が得られたが、解析結果を各マウス個体の血漿を用いて、個別の濃度測定を行い変動の有意差を確認するという検証が十分にできなかった。またヒトへの応用を考えて、打ち合わせ等を行ったが、研究倫理審査申請や血液中濃度測定などの解析が次年度以降へ持ち越されたため。
|