2023 Fiscal Year Research-status Report
力学的ストレスに応答する軟骨・半月細胞の核酸修復とエネルギー代謝の相関、治療応用
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23K10620
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
油井 直子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20266696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遊道 和雄 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 教授 (60272928)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 軟骨細胞 / 半月細胞 / 核酸修復酵素 / 細胞エネルギー代謝 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
各世代のスポーツ熱は盛んになっており、高齢者にとどまらず、若年者にとってもスポーツ における過度な運動負荷・メカニカルストレスは関節障害の一因となり、半月板損傷、軟骨保護機構の破綻、さらには関節軟骨の変性へと、不可逆的な病態にまで進展をきたすこともある。本研究では、軟骨および半月板の変性部では、DNA損傷の結果としてグアニンなどのDNA酸化体が 高発現し、これに応答してDNA修復酵素活性は亢進するが、DNA損傷度が修復を上回った場合に はDNA損傷が蓄積し、細胞死や組織の恒常性低下を経て、軟骨・半月板は変性していくこと確認してきた。さらに、メカニカルストレスに応答する軟骨細胞と半月板細胞のDNA修復酵素活性および細胞エネルギー代謝(ATP産生)の調節機構の変化は、相関して関節変性の誘因となる機序の解明を進めている。この成果を基に、今後もメカニカルストレスを軟骨細胞と半月板細胞が各々どのように感受して応答するか・その違い、メカニカルストレス応答の機序と軟骨・半月板変性との関連、病的・過剰なメカニカルストレスに対する防御機構の解析を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨関節変性の病因・病態の主要因であるメカニカルストレスに注目して、力学的 ストレスに応答する DNA損傷修復機構の変化、エネルギー代謝調節因子を解析し、変形性関節症(OA)軟骨変性部では、DNA損傷の結果としてグアニンなどのDNA酸化体が高発現し、 一方、DNA修復酵素 (APEX2, Ogg1) 活性は低下、このためDNA損傷の程度がDNA 修復酵素による修復能を上回った場合に、DNA損傷が蓄積し、細胞死や軟骨組織の 恒常性低下、軟骨変性が誘導されることを確認し、さらに力学的ストレスに応答し、軟骨細胞のエネルギー代謝(グルコース取り込み、ATP 産生)は一過性に亢進し、ミトコンドリア内のクエン酸回路・電子伝達系の亢進により、過剰のフリーラジカル・活性酸素が発生して漏出すること、これがDNA酸化損傷の一因となること、さらにATP産生量を制御する細胞エネルギーセンサーとしての役割を担う5'-AMP- activated protein kinase(AMPK)とsirtuin-1の活性はともにメカニカルストレスに応答して 変化し、ストレス応答因子として細胞エネルギー代謝ばかりでなくDNA修復酵素活性を調整する可能性を示唆する実験結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
生理的・過剰なメカニカルストレスに応答する軟骨・半月板細胞のDNA損傷、DNA 修復酵素(APEX2)活性、エネルギー代謝の変化、これらに影響する因子の分子機序を詳解し、その成果を基に、DNA修復酵素活性とエネルギー代謝機構の相互作用・調節機序 を解析し、メカニカルストレス応答の防御機構としての役割を検証する。さらに、DNA修復調節機構の変化・破綻が、軟骨変性の誘因となる か否かを、実験的軟骨変性・半月損傷モデルで検証し、軟骨変性抑制法の開発に発展させる。これにより、生理的・過剰な病的メカニカルストレスに応答する軟骨細胞の「DNA修復酵素活性」と「エネル ギー代謝調節機構」の相互作用(分子機構・調整因子)の詳解して、軟骨変性の抑制法開発につなげていく。
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Causes of Carryover |
生理的・過剰なメカニカルストレスに応答する軟骨・半月板細胞のDNA損傷、DNA 修復酵素(APEX2)活性、エネルギー代謝の変化、これらに影響する因子の分子機序を詳解し、その成果を基に、DNA修復酵素活性とエネルギー代謝機構の相互作用・調節機序 を解析し、メカニカルストレス応答の防御機構としての役割を検証する予定であるが、新規の実験系を立ち上げて進める必要が生じた。さらに、DNA修復調節機構の変化・破綻が、軟骨変性の誘因となるか否かを、実験的軟骨変性・半月損傷モデルで検証する研究も新たな実験系を追加する必要があるため、翌年度助成金と合わせて使用する計画とした。
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