2023 Fiscal Year Research-status Report
Study of new diagnostic methods and investigation of mechanisms for iron deficiency and anemia in female athletes
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23K10622
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
塙 晴雄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40282983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 豊 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20589303)
大森 豪 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (70283009)
稲葉 洋美 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (80406602)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヘプシジン / 鉄欠乏 / 貧血 / 女子アスリート / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在まで、本学、高校生、社会人のアスリート 222名に対して、経皮的Hb測定、鉄動態(RBC, Hb, Ht, 血清鉄, 総鉄結合能, 血清フェリチン値)とヘプシジンを血液、尿で測定した。スイススポーツ医学会の鉄欠乏・貧血のステージ分類によると、正常 25%、非貧血性鉄欠乏症 54%、小赤血球症・低色素性を伴う鉄欠乏症 4%、鉄欠乏性貧血 15%、非鉄欠乏性貧血 2%であり、多くが鉄欠乏や貧血を有していた。血清ヘプシジンと尿中ヘプシジンは良い相関が見られ、またそれぞれは血清フェリチンとも良い相関が見られた。鉄欠乏性貧血に対する各マーカーのROC曲線では、良好な予測性能が血清フェリチン(AUC 0.868)、血清ヘプシジン(同 0.897)、尿中ヘプシジン(同 0.833)ともにみられたが、UIBC高値かつ鉄欠乏性貧血に対する各マーカーのROC曲線では、血清フェリチン(AUC 0.938)、血清ヘプシジン(同 0.964)、尿中ヘプシジン(同 0.995)とも非常によい予測性能がみられた。 SDラットに低鉄飼料を4週間あるいは6週間与え、最後の2週間は強制回転カゴで運動負荷し、低鉄試料運動負荷ラットモデルを作成したところ、低鉄試料4週間投与で軽度貧血、6週間投与で明らかな貧血と鉄欠乏を認めた。 雌LewisラットにPGPSを腹腔内投与し、炎症性貧血ラットモデルを作成し、3週後に採血し鉄動態や鉄関連蛋白を測定したところ、明らかな貧血、血清ヘプシジン増加、UIBC増加、血清フェリチンの増加をみとめ、腎臓と肝臓でのエリスロポエチン遺伝子発現の亢進を認めた。SDラットのpCAGGS-エリスロフェロンプラスミドベクターなどを含有するリンゲル液を急速静注して遺伝子導入し(ハイドロダイナミクス法)、エリスロフェロン遺伝子導入ラットモデルを作成したが、血中濃度を十分上昇させることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エリスロフェロン遺伝子導入ラットモデルについては、十分な発現が得られないためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
アスリートに関する研究は、確実に症例数を増やし研究は概ね良好である。さらに鉄欠乏性貧血のアスリートのデータを増やすことによって、血清ヘプシジンと尿中ヘプシジンの鉄欠乏性貧血に対する予測性能が判明すると考える。また、必要な症例に関しては鉄剤内服治療を行っているので、その効果やヘプシジンの変動なども検討していく予定である。低鉄試料運動負荷ラットモデルでは、低鉄飼料を6週間与え、最後の2週間は強制回転カゴで運動負荷することで確実に貧血と鉄欠乏が生じることがわかってきたので、さらに個体数を増やしてデータを集めて行く予定である。しかし、エリスロフェロン遺伝子導入ラットモデルについては、十分な発現が得られないため、方針を改めて考え、改良した方法を模索していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に研究を始めるにあたって、見積もった検査試薬費用や実験動物費用、実験器具などは、当初かなり高額になると考えられた。しかし、貧血・鉄欠乏マーカーの十分な予測性能を調べるためには、他施設からもアスリートの検体を収集してデータを集める必要があり、次年度以降も同様な検査試薬費用がかかると考えらるため、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用していく予定である。
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