2023 Fiscal Year Research-status Report
一流長距離走者のランニングエコノミーに下肢筋群の活動パターンと酸素化動態から迫る
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23K10654
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
安藤 良介 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部門, 研究員 (10804792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹治 史弥 東海大学, 体育学部, 助教 (00804957)
大沼 勇人 関西福祉大学, 教育学部, 准教授 (10762239)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ランニングエコノミー / 脚スティフネス / 鉛直スティフネス / エラストグラフィー / 弾性 / 陸上競技 / 長距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
陸上競技長距離種目を専門とする男子大学生選手9名を対象に実験を行った。本研究は最終的にエリートランナーへの還元を目的としているため、2023年度は5,000 m走の自己記録が15分以内の選手を対象とした。2024年度は自己記録が14分以内の選手を対象に実験を行っていく予定である。9名の選手において、安静時の外側広筋の弾性(組織の伸びにくさ)、トレッドミルにおいて19.8 km/hで疾走中の酸素摂取量及び脚スティフネス、下肢6箇所の筋の表面筋電図、下肢4箇所の筋の組織酸素化を記録した。その結果、安静時の外側広筋の弾性(組織の伸びにくさ)が高い選手ほど脚スティフネスが高い傾向にあった(r = 0.60)。この2つの関係の散布図を詳細に見てみると、筋の弾性・脚スティフネスが低いほど回帰直線近辺に分散しているが、筋の弾性・脚スティフネスが高いほど回帰直線から離れて分散している。脚スティフネスはランニングエコノミーの主要な影響因子であることが知られている。したがって、筋が安静時に有している伸びにくさだけでは脚スティフネスを説明できず、それは脚スティフネス(≒競技バフォーマンス)が高くなるほど増している。当初の仮説の通り、これを説明するのが神経筋活動パターンであると考えており、本研究の中核をなす。神経筋活動と筋の組織酸素化については分析中である。今後は分析を進めるとともに、追加実験を実施して本研究の中核の仮説を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、初年度は予備実験的に活動し、本実験は少数を対象に実施する予定であった。しかし、予想以上に9名を対象に実験を行った。2024年度にも大学生選手を対象とした追加実験が予定されており順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の6月頃までに5,000 m走の自己記録が15分以内の選手を対象に追加実験を行う予定である。その後、自己記録が14分以内の選手を対象に更に追加実験を行い、最終的なサンプルサイズは25程度を予定している。神経筋活動と筋の組織酸素化の解析を並行して進め、年度内に国内の関連学会にて成果発表及び情報収集をするとともに、論文を執筆して国際学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
当初の予定では神経筋活動を記録するために無線筋電図を配備する予定であった。しかしながら、為替等の影響により予算内で購入することが不可能となり、研究代表者の所属研究所の機器を使用することにしたため、残額が生じた。本研究は、成果をエリートランナーへ還元することが目的なので、実験もエリートランナーで実施されることが望ましい。従って、国内のエリートランナーを対象に実験をするため、その旅費として使用することにより、効果的な予算執行と高い研究成果を獲得していく予定である。
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