2023 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of myosteatosis in sarcopenia
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23K10659
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐久間 邦弘 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (60291176)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 骨格筋 / サルコペニア / 筋線維 / 老化 / 脂肪蓄積 |
Outline of Annual Research Achievements |
以前採択された科研費で、高齢マウスの大腿四頭筋の筋線維において、オートファジー関連物質 (p62)の免疫活性が亢進していることを我々は証明した (Sakuma K et al., J Cachexia, Sarcopenia and Muscle 7: 204-212, 2016)。p62の細胞内沈着は、オートファジー機能不全のためである可能性が高い。広義のオートファジーには、ミトコンドリアを分解するマイトファジー、脂肪を分解するリポファジーなども含まれる。通常のオートファジーが機能不全になっていることから、サルコペニアの筋ではリポファジーにも機能不全が起こるのではないかと考えた。メカニズムははっきりしていないものの、サルコペニアの筋では筋内脂肪蓄積 (Myosteatosis)の増加が明らかであり、そのメカニズムに加齢筋における脂肪分解減退の可能性が十分考えられる。この蓄積原因には、筋肉幹細胞から脂肪細胞への変換、脂肪滴の分解阻害が想定され、これらの機序に関係するPim1、ペリリピン2、HSC70、Rab10 の発現変化に着目した。今年度は、若齢 (3ヶ月齢)と高齢 (24ヶ月齢)マウスの大腿四頭筋を用いてPim1とペリリピン2の発現様相を蛍光免疫組織染色で検証した、若齢筋におけるペリリピン2の活性は主に細胞膜で認められ、加齢筋においてもほぼ同様な傾向があった。さらに加齢筋においては、ペリリピン2の陽性箇所が筋細胞質内で楕円状に確認された。一方Pim1の蛍光免疫活性は若齢筋、加齢筋とも細胞膜で検出されたが、両群間に有意な傾向が認められなかった。以上のことから、リポファジーの障害によりサルコペニアにおける筋内脂肪蓄積が生じている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加齢筋における筋内脂肪蓄積(Myosteatosis)に関わる可能性のある、Pim1とペリリピン2の蛍光免疫組織染色が完了し、若齢筋、加齢筋ともペリリピン2の細胞内陽性箇所の面積専有率解析がほぼ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
加齢筋におけるリポファジー関連物質 (Pim1とペリリピン2)の変化について、蛍光免疫組織染色での検証がほぼ完了した。これらの物質についてWestern blot法を用いた解析を今後行う予定である。また加齢筋におけるそれ以外の関連物質であるHSC70とRab10においても、蛍光免疫組織染色とWestern blot法による解析を実施予定である。
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Causes of Carryover |
当初リポファジーに関係する4つの物質を同時並行で実験しようと考えていたが、より重要だと考えるPim1とペリリピン2の蛍光免疫組織染色が完了してから、これらの物質の定量的解析 (細胞膜陽性細胞の割合、陽性面積占有率)を優先した。そのためそれ以外のリポファジー関連物質であるHSP70やRab1の実験を後ろにずらした。今年度はこれらの抗体を複数種類購入予定である。また1匹2-3万円する加齢マウスの購入費用などにも研究費を使用する。さらに1台20万円近くするセミドライ式トランスファー装置が約10ヶ月で摩耗してくるので、その購入費用にも研究費を使用予定である。
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