2023 Fiscal Year Research-status Report
肩関節脱臼予防に向けたElastomeric Shoulder Braceの研究
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23K10702
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Research Institution | Osaka Health Science University |
Principal Investigator |
境 隆弘 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (60353009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向井 公一 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 准教授 (00353011)
小柳 磨毅 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (20269848)
田中 則子 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 教授 (20290380)
松尾 高行 大阪行岡医療大学, 医療学部, 教授 (80643593)
成 俊弼 大阪電気通信大学, 医療健康科学部, 講師 (80843185)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 反復性肩関節脱臼 / 装具 / エラストマー素材 / タックル動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
反復性肩関節脱臼を呈するコリジョンスポーツ選手の術前と術後における再脱臼率を低下させるために考案した、上腕骨頭を逸脱位から求心位に制動する弾性肩装具(Elastomeric Shoulder Brace;ESB)の効果を検証し社会実装を実現することが本研究の目的である。 初年度である2023年度は、コリジョンスポーツ選手9名に対してESBの使用を開始した。 また、ESBの装着有りと無しでの脱臼側のタックル動作及び正常側のタックル動作において、2次元動作解析によるキネマティックスの比較と肩関節脱臼不安感の比較結果を国際学会(7th IOC World Conference on Prevention of Injury and Illness in Sport)で発表した。
【要旨】 反復性肩関節脱臼に対する手術前の男性ラグビー選手7名を対象とした。ESBは弾性素材に初期張力を加え、脱臼側の肩関節の外転、外旋及び水平外転方向の運動を制動するように装着した。ESBの装着有りと無しでの脱臼側のタックル動作及び正常側のタックル動作を高速動画撮影し2次元動作解析を行った。またタックル動作時の脱臼不安感をVisual Analog Scale(VAS)で聴取した。脊柱後弯角度、重心位置、下腿前傾角度、体幹側屈角度及びVASの全ての指標がESB装着例で改善し、タックル動作は正常側に近似した正しいと思われる姿勢に変化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動作の解析結果は予測通りであり、2023年度にESBを提供したコリジョンスポーツ選手の脱臼不安感が改善され、競技可能となっている状況は把握できている。これらの成果は論文化し、国際雑誌への投稿の準備を始めている。但し、これらの根拠を明らかにするための生体内での装着効果(エコーやMRI等による上腕骨骨頭の正中位化)の検証に着手できていないため、進捗は“やや遅れている”とした。
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Strategy for Future Research Activity |
弾性素材から成る弾性装具(ESB)を開発した。ESBは反復性肩関節脱臼症例の不安感を改善し、タックル動作を正しくすることを確認した。 今後、生体内におけるESBの臨床効果を、①MRIにて肩関節脱臼症例のESB装着、非装着での撮影を行い、ESB装着時の関節窩中心に対する骨頭中心位置が非装着時と比較して後方に変位する制動効果を明らかにする。さらに、②スチレン系エラストマー素材であるESBがエコーを透過する特性を活かし、ESB装着時のアプリヘンジョンテストにおける上腕骨頭の位置が非装着時と比較して後方に位置する制動効果を明らかにする。 また、シーズン中における肩関節の再脱臼率を長期にわたって調査し, ESBによる再脱臼の予防効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、今年度のESB使用者が予定より少なかったため、エラストマー素材の購入(物品費)が少なかったためである。 当該助成金は翌年度請求分の物品費と合わせて、引き続きエラストマー素材の購入に充てる予定である。
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