2023 Fiscal Year Research-status Report
激運動による自然免疫機能低下オープンウインドウに及ぼす腸内細菌叢の功罪
Project/Area Number |
23K10704
|
Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
矢野 博己 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (20248272)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 孝文 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (30782239)
小柳 えり 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50804647)
濱田 大幹 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (70909431)
川島 将人 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (90909590)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 腸内フローラ / 抗生剤 / TNF-α / LPS / オープンウインドウ |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢は、免疫機能に影響を及ぼす。また、疲労困憊運動は一過性の免疫抑制を引き起こすとされる。今年度は、腸内細菌叢の有無が急性運動後の自然免疫応答におよぼす影響について明らかにするため、疲労困憊運動後のLPS投与に対する炎症性サイトカインTNF-αの応答性から検討することを目的とした。C3H/HeN雄マウス8週齢 (n=42) を使用し、3週間飼育した後、4週目に水道水(W)群または抗生剤 (AB) 群とし自由飲水させた。4週間の飼育終了後3日間走行学習を行い、24時間後に安静 (S) または疲労困憊運動 (Ex)を負荷した。その後、LPS (1mg/kg) を静注し、1、 3、 6時間後に採血を行った。血漿TNF-α濃度は、ELISA法を用いて解析した。その結果、WExとABExの疲労困憊運動時間に有意な差は示されず、AB摂取による疲労困憊運動に対する直接的な影響は観察されなかった。一方、疲労困憊運動後のLPS刺激に対するTNF-αの応答性は、WS群と比較してWEx群で有意な低値を示し、LPSに対する一過性の免疫抑制 (オープンウインドウ) 状態を示した。しかし、WEx群と比較してABEx群の血漿TNF-α濃度は、有意に高値を示したことから、疲労困憊運動後のLPSに対する一過性の免疫抑制には、抗生剤摂取が関与する可能性が考えられた。すなわち、AB摂取による腸内除菌によって、免疫応答性の亢進が生じたことになり、疲労困憊運動後の免疫応答に腸内細菌叢の有無が影響することが示唆された。運動後に生じる過剰な炎症を抑制するためのシステムとも考えられるオープンウインドウへの腸内細菌叢の関与が明らかとなった。以上の結果より、疲労困憊運動後の免疫応答におよぼす腸内細菌叢の関与が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って比較的順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画にそってプレバイオティクス(食物繊維摂取)による腸内細菌叢への刺激(腸内細菌叢の改善効果)が、疲労困憊運動後の自然免疫応答におよぼす影響についての検討を実施中であり、盲腸便に含まれる短鎖脂肪酸の解析、さらには盲腸便を用いた便移植実験を予定している。
|
Causes of Carryover |
すでにサンプリング済みの盲腸便を用いた短鎖脂肪酸含量の解析を予定しているが、次年度実施予定の盲腸便移植実験用のサンプルとの振り分けが必要となるため、必要量の確保後に分析を行うこととなる。そのため、一旦経費の執行を止めているが、次年度の適切な時期に経費執行となる予定である。
|