2023 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷者における屋外活動時での適正な体温維持に効果的な実用的対策の確立
Project/Area Number |
23K10718
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
林 聡太郎 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (80760040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 貴司 北海学園大学, 法学部, 講師 (20806278)
松田 幸久 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (40513825)
石本 恭子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (50634945)
斉藤 篤司 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (90195975)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 体温 / 脊髄損傷 / 体温調節障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの体温調節は、熱産生と熱放散によって深部体温が約37℃で一定に保たれている.しかしながら、脊髄損傷者や四肢切断など身体的障害者は体温調節を生じることがあり、健常者と比較して暑熱下では高体温を、寒冷下では低体温を呈しやすい.本研究の目的は、①脊髄損傷者における暑熱環境および寒冷環境下での滞在時、身体活動時の異なる部位の体温動態を明らかにし、人工環境制御室内での基礎および屋外フィールド実験によって、体温調節障害を有する者における屋外での身体活動時の適正体温維持と活動限界を延長させる包括的な実用的対策を広く提案することである. 2023年度は、これまで得てきた暑熱環境下における屋外滞在での適性体温維持のための身体冷却方略を、頸髄損傷者を対象に施行し、屋外活動における深部体温動態について検証した.対象者はC5損傷者であり、麻痺部において発汗がなく、血管運動も障害されていることから、暑熱化において深部体温が顕著に上がる者であった.外気温が36℃の環境で対象者の自宅から500m離れた商業施設までの往復を10分の休息を含めて1時間で、電動車椅子を用いて移動を行なった.電動車椅子の操作は研究対象者自身で行わせた.施行した身体冷却は長袖等の衣類と帽子の着用に加え、クールングベストを着用させた.その際、背部のアイスパックは褥瘡等へのリスクを避けるために挿入しなかった. 深部体温の最高値は、屋内での安静滞在時と比較すると、0.23℃の上昇であり、クーリングベストによる体幹部の冷却効果に加え、長袖等の衣類を着用したことによる皮膚温上昇の抑制をしたことが過度な深部体温の上昇抑制に貢献したことが示唆された.来年度は研究対象者を増やし、屋外活動時における身体冷却方略の確立をする予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた、研究協力者の依頼が難航していることから、研究計画に則った実験の遂行に遅れが生じている.しかしながら2024年度については、夏季および冬季における実験の遂行について了解が得られている協力者がいることから、2023年度の研究計画と合わせて実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度および2024年度の研究計画は、暑熱環境下における身体冷却と、寒冷環境における保温効果を得ることにある.2023年度終了時点において、暑熱環境下における実験が進んでいることから、2024年度は、暑熱環境のデータ収集に加え、冬季の適正な深部体温の維持に必要な保温または加温による方略を検証する.なお、研究協力者の障害の特性等を考慮し、当初は15人で予定していた計画を10人として遂行することとする.
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Causes of Carryover |
予定していた研究協力者の辞退等があったことから、謝金等の支出がなかった.2024年は、夏季ならびに冬季の実験を遂行することを予定しているため、2023年度に執行しなかった研究費について、研究協力者への謝金等に使用する予定である.物品費に計上しているものは、深部体温計を追加することを予定している.また、実験にかかる消耗品費としてその他に計上している研究費について執行する予定である.
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