2023 Fiscal Year Research-status Report
運動が自尊心を高める脳内メカニズムの解明と最適フィードバック方法の開発
Project/Area Number |
23K10778
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小谷 泰則 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (40240759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大上 淑美 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 研究員 (30456264)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | スポーツ心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の脳研究により「自尊心」が脳の体積にまで影響を及ぼし、災害時のストレス耐性を高めることが明らかになってきている。一方で、自尊心は運動によって向上することが分かっており、このことは運動による自尊心の向上が脳機能の変化を通してストレス耐性を高めることを意味する。しかしながら、運動がどのようにして自尊心を高めるのかその脳内メカニズムはまだ明らかにされていない。そこで本研究では、機能的 磁気共鳴画像法(fMRI)、脳波、近赤外線分光法(NIRS)を用いて、運動が自尊心を高める脳内メカニズムについて検討することを目的としている。 2023年度は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて実験を開始した。fMRI実験では、脳のネットワークの活動の切り替えに関与する「島皮質」に着目しながら実験データを解析する。実験課題は、これまでの研究から島皮質の活動を捉えることができる「遅延Feedback課題」を用いて実験を行っている。遅延Feedback課題では、運動の経験差が生じやすい体性感覚刺激を用いてFeedback刺激の内容を操作した。自尊心・運動経験等に ついては、質問紙を用いて測定を行った。自尊心や運動経験と賦活が確認された脳領域との関係性について、今後検討を検討を行う予定である。 fMRIの分析においては、島皮質の活動が現在の時点では確認されている。特に脳内のネットワークの切り替えと関係しているとされてている前部島皮質の活動が確認されている。さらに、今回、体性感覚刺激を用いたことから、島皮質のなかでも後部島皮質、弁蓋、運動関連脳領域の活動が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度に新型コロナウイルスが感染法上の5類に指定され、活動制限が解除されたため、新型コロナウイルス・インフルエンザが首都圏で流行した。そのため、予定していた実験を延期するなどの状況が多く発生し、fMRIの実験実施数は当初予定したよりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、fMRIの実験数を増やし、質問紙で測定された自尊心の得点や運動経験との関係性について検討を行う。また、fMRIと同様の実験パラダイムにて、脳波の実験を行い、脳波においても、自尊心の得点や運動経験との関係性について検討を行う。これらの分析から最終的に、脳の血流量を測定するための近赤外線分光法(NIRS)の実験パラダイム、および測定方法を決定し、自尊心・運動・脳活動の関係性を多面的に検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスが感染法上の5類に指定されたが、その後もインフルエンザ等の流行・新型コロナウイルスの感染者の増加等があり、当初予定していた実験が行えなくなるケースが多く発生した。そのため、実験の予定が遅れ、次年度使用額が発生した。 今後は、実験をさらに追加して行い、次年度使用額を実験実施のために使用する予定である。
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