2023 Fiscal Year Research-status Report
CES1による細胞内トリグリセリド蓄積の改善:カプリン酸治療の標的となりうるか
Project/Area Number |
23K10797
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 康洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (70568617)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 賢一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (30332737)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | TGCV / CES1 / カプリン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性脂肪蓄積心筋血管症(Triglyceride deposit cardiomyovasculopathy;TGCV)は、心筋へトリグリセリド(TG)が蓄積する難病でありadipose triglyceride lipase(ATGL)の欠損を主要な原因とする。研究代表者は心臓にTGが蓄積するATGLノックアウトマウスの心臓プロテオーム解析を行い、carboxylesterase 1d(Ces1d)が最も減少していることを見出した。ヒトでの同酵素CES1はTG分解活性を有するとされるが脂肪滴におけるTG代謝への役割はわかっていない。本研究ではCES1の細胞内TG代謝における役割およびTGCV治療薬カプリン酸によるCES1の調節を調べ、CES1がカプリン酸による治療の標的となるか否かを明らかにすることを目的とする。 令和5年度はCES1の細胞内でのTG分解能を明確にする目的で、CES1の細胞内発現用の種々のコンストラクトを構築した。それらは細胞内での局在を見るため蛍光タンパク質との融合体とし、一過性高発現、安定発現両方に対応している。また、酵素活性と細胞内TGの分解を詳細に調べるためカルボキシエステラーゼ活性に重要であるとされるSerをAlaに置換した変異体も作製した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一の目的はCES1の細胞内のTG蓄積を改善する酵素としての機能を明確にすることである。そのために細胞内発現用の種々のコンストラクトを、変異体を含め作製し準備を整えたことは、初年度の進捗としては十分であると考えられるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、令和5年度において作製したCES1発現コンストラクトを用いて、脂肪酸負荷により脂肪滴を蓄積させた種々の細胞内でCES1を発現させることによりそのトリグリセリド分解能を詳細に検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度は細胞内発現用の種々のCES1コンストラクトを作製し通常の培養細胞を用いた発現チェックを行い、おおむね良好に進捗したが、現段階では研究室に既存の試薬、キット、細胞培養用消耗品で進めることができたため、次年度以降に有効に活用することとした。 次年度使用額はCES1によるTG代謝研究に重要となる間葉系由来細胞や肉腫由来細胞の購入などを予定する。
|