2023 Fiscal Year Research-status Report
Study on Bioactive Metabolites of Dietary Functional Tannins
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23K10831
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
伊東 秀之 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (70253002)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | タンニン / プロアントシアニジン / アントシアニジン / パイエル板 / in situ |
Outline of Annual Research Achievements |
タンニンは食品や薬用植物に広く分布し,多彩な機能性を有することから,タンニン自身が吸収され,それらの機能性を発揮していることも考えられるが,タンニンの吸収については未だ不明な点が多く残されている。今年度はin situ 吸収実験系によるタンニン吸収の手法検討するために,高分子縮合型タンニンのin situでのラット小腸における吸収性評価を行った。 ラットを用いたin situ吸収実験として,パイエル板が存在する小腸部位とパイエル板非存在部位について,各ループを作成し,ループ内に薬用植物由来の高分子縮合型タンニン(プロアントシアニジン:PA)1 mg/mLを投与した。2 h後,投与した小腸ループを回収した。回収したサンプルについて,通常PAの分析で汎用されているゲル浸潤クロマトグラフィー(GPC)による分析を行った結果,ピークとして検出できなかった。そこでPAの定性反応である塩酸-ブタノール反応による検出を試みた。PAにn-BuOH:HCl混液を加え,加熱後HPLC分析を行った結果,PA由来のDelphinidinおよびCyanidinのアントシアニジンを検出することができ,生体試料中に含まれるPAを比較的高感度に検出するには,塩酸-ブタノール反応が有効であることが示唆された。そこで,回収した小腸ループについて塩酸-ブタノール反応後HPLC分析を行った結果,小腸ループからPA由来のアントシアニジンであるDelphinidinが検出され,特にパイエル板部分にDelphinidinが集積していた。これらの結果より,塩酸-ブタノール反応により生じるアントシアニジンを指標にした高感度検出法によりPAが小腸ループ内でパイエル板に特異的に集積していることを見出した。 以上の結果,次年度の研究につながる機能性タンニンの吸収機構解明に向けた基礎データが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,機能性タンニンが植物体内で存在している分子形のまま生体内に吸収或いは生体内で代謝産物として機能性を発揮しているか,真の活性本体を明らかにするための基礎的知見を得る目的で,初年度はin situ 吸収実験系による機能性エラジタンニン吸収の手法検討をテーマとして研究を進めた。その結果,分析化学的アプローチにより,プロアントシアニジンの吸収機構の解明の手掛かりとなる科学的基礎データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回確立したin situ 吸収実験系による機能性タンニンの吸収の検討をさらに進めるために,PAでは分子量の違いによる評価,さらには加水分解性タンニンなど他のタンニンについても評価を進める。一方,未解明であるタンニンの生体内代謝産物の探索も進め,タンニンの活性本体の探究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
生体試料中のタンニンの代謝産物分析に必要なHPLC-ESI-MS/MSが,ターボポンプの故障により分析不可の状態である。現状研究推進に支障をきたしており,その修理費用に充てるため。
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