2023 Fiscal Year Research-status Report
The normal SCFA dependent postprandial function of intestinal immune cells in the control of disease.
Project/Area Number |
23K10843
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 郷太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30780332)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 肥満 / 腸管免疫細胞 / 短鎖脂肪酸 / 胆汁酸 / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満状態で障害される腸管免疫細胞の機能を解析するため、メタボローム、およびscRNA-seqを使用した。肥満状態、非肥満状態のマウスで小腸内容、門脈血のメタボローム解析を施行し、代謝物のレベルでは肥満により解糖系など複数の代謝経路が変動している結果が得られた。代謝調節機能が報告されている短鎖脂肪酸については、小腸内容では酪酸、プロピオン酸濃度の肥満による変化を認めなかったが、門脈血中では両者の濃度低下が見られた。小腸パイエル板のscRNA-seqによる1細胞解析では、代謝経路に関連する遺伝子のうち、骨髄系細胞での酪酸、プロピオン酸トランスポーターの発現が低下していたことから、腸管免疫細胞での短鎖脂肪酸の作用低下が肥満状態で代謝機能の変化で鍵となる可能性が考えられた。肥満マウスに酪酸を飲料水を介して1ヶ月給水すると腸管免疫細胞の食後遺伝子発現の応答が部分的に改善し、食後の高インスリン血症が改善した。IL-10欠損マウスでは酪酸の影響が抑制されたことから、この変化にはIL-10の正常な発現が必要だと考えられた。酪酸はHDAC阻害により作用すると報告されているが、初代培養マクロファージでは酪酸の存在下でHdac2が蛋白レベルで低下する事が明らかになり、Hdac2 mRNA発現の低下は見られず、プロテアソーム阻害薬によりHdac2蛋白の低下が見られなくなったことから、免疫細胞における酪酸の細胞内への取り込みによるプロテアソームの機能維持がHdac2の蛋白を正常に抑制する可能性があると考えられ、肥満抵抗性免疫細胞を作成する際の標的となる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫細胞の遺伝子発現と周囲の代謝物について、統合的解析と細胞、動物モデルでの機能解析を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄系細胞特異的Hdac2欠損マウスを作成しており、研究期間中に機能解析を進める予定である。またIKB fragment-RFP発現ベクターを作成し、末梢血から蛋白分解機能を保持した細胞を選択する方法を検討する予定である。
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