2023 Fiscal Year Research-status Report
減塩の降圧効果とそのリスクを交感神経活動の慢性記録で解明する
Project/Area Number |
23K10869
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
吉本 光佐 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20418784)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 健寿 奈良女子大学, 大和・紀伊半島学研究所, 協力研究員 (80165985)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 腎交感神経活動 / 動脈圧 / 減塩 / 食塩負荷 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
食塩の過剰摂取が高血圧発症の原因となることが一般的に知られており、減塩が求められるが、食塩負荷期、減塩期ともに、腎交感神経活動のナトリウム排泄に果たす詳しい機構は不明である。本研究は、減塩がどの程度の降圧効果があるか、さらに減塩時の交感神経活動の変化がどのように変化し、循環調節系にリスクを及ぼすかを検討するために、3日間の食塩負荷を行い、その後の3日間の減塩期を含めた腎交感神経活動がナトリウム排泄量および循環調節に及ぼす影響を検討した。 [方法]Wistar系ラットを用いて、手術により腎交感神経活動測定用電極と動脈圧測定用テレメトリーを慢性留置した。実験は、3日の食塩負荷として、308,154,0mEq/Lの食塩水を投与し、その前後の3日間をコントロール期とリカバー期として、50mEq/Lの食塩水を投与した。また、毎日の採尿しナトリウム排泄量も検討した。[結果]動脈圧の変化としては、308mEq/L高食塩負荷期にコントロール期に比べて有意な上昇が見られた時間があった以外は、有意な変化は見られなかった。この時、腎交感神経活動は低下し、ナトリウム排泄量は上昇した。また、減塩時、つまり308から50mEq/L、154から50mEq/L, 50から0mEq/Lにすると、いずれも動脈圧の変化は見られなかったものの、308から50mEq/Lでは腎交感神経活動で有意な上昇が見られた。50から0mEq/Lでも腎交感神経活動が有意に増加したが、154から50mEq/Lでは有意な変化は見られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットの24時間連続測定を数週間に渡り続ける実験であり、実験サイクルに時間を要する実験である。地道な努力の積み重ねにより、概ね順調に実験は進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度は、3日間の食塩負荷からの減塩をおこなった。この結果から、3日間では動脈圧や心拍数といった循環器系の変化は見られないものの、減塩の程度による腎交感神経活動の有意な増加が見られることが明らかになった。2年目である次年度は、短期間の減塩の効果の影響の追加実験に加えて、長期間の食塩負荷からの減塩の効果の検討を行う。 具体的には、短期間の減塩の追加実験として、短期間の食塩負荷からの減塩では循環器系に影響は見られなかったものの、腎交感神経活動は有意に増加していたため、腎交感神経切除を行い、動脈圧の変化とナトリウム排泄量の変化を検討する。また、長期間の食塩負荷からの減塩効果としては、数週間あるいは、幼少期からの食塩負荷後の減塩を検討する。
|
Causes of Carryover |
物品費に関しては、ラットケージを購入する予定である。ラットケージは特注になるため、実験に適したケージを作ってくれる業者が見つからず、購入に至らなかった。本年度の実験では、裂け目のあるケージをテープで貼りながら使用している状況であり、次年度中に、ラットケージを作ってくれる業者を、ネットも含めて検討する予定である。予算と異なるのはそのためである。 人件費に関しては、休日のお世話等の為に予算を計上しているが、本年度は申請者が休日出勤で乗り切った。休日を返上だけでは、乗り切れないので、次年度は使用する予定である。旅費に関しては、本年度の予算だけでは、学会参加は厳しいため、次年度予算と合わせて学会参加の旅費として使用する予定である。
|