2023 Fiscal Year Research-status Report
膵臓がん細胞と間質系細胞の相互作用の解析および和漢薬を用いた膵臓がん治療の可能性
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23K10879
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
高橋 哲史 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (40449004)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 膵臓がん / 間質細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓がんと間質細胞との解析を行うにあたり、まず、膵臓星細胞に注目し解析を行った。膵臓がん患者から分離された膵星細胞株として理化学研究所バイオリソース研究センターより提供されたhPSC5とhPSC14細胞について、各細胞における遺伝子発現解析を行った。その結果、両細胞とも膵星細胞マーカーの1つであるαSMAの発現量に顕著な差は認められなかった。一方で、hPSC14において、がん抑制性に作用するがん関連線維芽細胞(CAF)のマーカーとして考えられているMeflinの高発現が認められた。また、hPSC5において、膵臓がん患者の組織において間葉系細胞に発現し、膵臓がんの生存率や予後に関与すると報告のあるアンフィレグリン(AREG)の高発現が認められた。hPSC5もしくはhPSC14と膵臓がん細胞株KMP2を共培養し、グムシタビンに対する化学療法抵抗性を比較した結果、hPSC5との共培養時において有意な膵臓がん細胞の治療抵抗性が認められ、これは悪性化因子AREGの発現パターンと一致していた。 hPSC5とhPSC14について、当初は自然不死化細胞と考えられていたが、増殖有限細胞であることが明らかとなった。そこで、これら細胞の不死化を目指し、ヒト遺伝子上の安全領域であるAAVS1へのhTERTノックイン用のゲノム編集ベクターセットの作製を行った。 本申請課題では、膵星細胞以外の間質細胞としてマクロファージ細胞と膵臓がん細胞との相互作用についても検討課題となっている。そのため、ヒト単球細胞であるTHP-1細胞を用い、各種試薬による刺激によりM1およびM2マクロファージへの誘導を行った。遺伝子発現解析の結果、M1およびM2マクロファージへそれぞれ誘導できたものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種細胞の条件検討などは順調に行えている。ただし、膵星細胞の不死化という当初予定していなかった実験工程が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
膵星細胞の性質におよぼすMeflinやAREGの役割について解析をおこなっていく。また、これら因子が膵臓がん細胞との共培養時に、化学療法抵抗性、転移活性にどのような影響を与えるかについても検討を行って行く。 また、マクロファージにおいても、M1およびM2マクロファージが、膵臓がん細胞との共培養時に、化学療法抵抗性、転移活性にどのような影響を与えるかについても検討を行って行く。
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Causes of Carryover |
消耗品の使用が現状、想定より少なかったため次年度使用額が生じた。次年度は消耗品の使用が増えることと、物品費の価格上昇が見込まれるため、残予算を次年度に使用する。
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