2023 Fiscal Year Annual Research Report
細胞毒性終末糖化産物蓄積阻害によるアルコール性肝障害予防法の開発
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23K10880
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
橋爪 智恵子 金沢医科大学, 医学部, 特定助教 (70564128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福村 敦 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80367466)
久保田 龍一 金沢医科大学, 医学部, 助教 (10815103)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アルコール性肝障害 / 終末糖化産物 / アルドースレダクターゼ阻害剤 / ALD / GA-AGEs |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓でアルコール(AL)から代謝されたアセトアルデヒド(AA) は、タンパク質を糖化することでAA由来終末糖化産物(AA-AGEs)を生成し肝細胞に蓄積する。AA-AGEsが惹起する酸化ストレスは強い細胞毒性を示すため、AA-AGEsの肝臓への蓄積がAL性肝障害(ALD)の原因のひとつになっていることを申請者らのグループは報告してきた (Hayashi et al., PLoS One. 2013)。一方、糖尿病患者や糖尿病モデルラットにおいて、肝臓でグルコース (Glu) から代謝されたグリセルアルデヒド (GA) が糖化し、細胞毒性を持つGA由来AGEs (GA-AGEs)を生成することが以前から報告されていたが、申請者らはAL飲酒ラット肝臓ではAA-AGEsだけでなくGA-AGEsも増加することを見出した。GA-AGEsが増加するためにはAL飲酒ラットの肝臓でGAが増加する必要があるが、そのためにはGluがポリオール代謝によりGluからソルビトール、フルクトース、GAへと代謝する必要がある。しかしこれまで、肝臓ではGluをソルビトールへ代謝するアルドースレダクターゼ (AR) の発現が極めて低く、この代謝経路は使われていないとされてきた。そこで本研究では、AL飲酒ラットの肝臓を免疫染色により解析したところ、AL摂取によってAR発現が上昇し、GA-AGEs生成の上昇と正の相関を持つことを見出した。このことから、AL摂取に伴って発現が上昇するARの活性を薬剤により阻害しGA-AGEs生成を阻害することができれば、ALDを抑制できるのではないかとの考えに至った。これは今後、AR阻害剤を用いたALDの新しい予防方法開発への応用につながる重要な発見であり、AR阻害剤はすでに糖尿病性神経障害の治療薬として使用されているため、臨床への応用も容易であるという点が優れている。
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