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2023 Fiscal Year Research-status Report

鉄欠乏は老化を促進するのか?:鉄含有酵素ACO1による生体防御機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23K10884
Research InstitutionHyogo Medical University

Principal Investigator

吉原 大作  兵庫医科大学, 薬学部, 助教 (00567266)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 藤原 範子  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10368532)
江口 裕伸  兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (60351798)
大河原 知水  兵庫医科大学, 薬学部, 教授 (50330452)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords細胞質型のアコニターゼ / 鉄代謝 / 酸化ストレス / 老化
Outline of Annual Research Achievements

これまでの研究で、研究代表者は、鉄欠乏がROS産生系亢進の引き金となることを見出してきた。その研究の中で、ROS傷害を抑制するものとして候補に挙がったのがIron regulatory protein 1(IRP1、ACO1と同一タンパク質)であった。非常に興味深いことに、IRP1のROS傷害抑制作用は、鉄が充分にある状態でしか発揮されず、アコニターゼ活性を完全に失わせた変異体もROS傷害性を示さなかった。これらのことから、研究代表者は、ROSによる傷害抑制には、IRP1がACO1(細胞質型アコニターゼ)として機能することが重要であると考えた。ACO1は細胞質型のアコニターゼで、クエン酸回路を構成するアコニターゼ(ACO2、ミトコンドリア型)のアイソザイムである。しかしながら、細胞質にアコニターゼが存在する生理的意義は不明であった。これまでに研究代表者は、ACO1が、活性酸素種(ROS)による傷害を抑制すること、鉄欠乏状態ではROS傷害を抑制する作用を失うことを見出している。本研究は、「ACO1がROS傷害を抑制するメカニズム」の解析を通して、鉄欠乏と老化促進因子である酸化ストレス(ROS傷害の蓄積)との関係を明らかすることを目的としている。
2023年度は、ACO1の過剰発現細胞株を樹立した。その細胞を使用して、これまでに得られていた結果(ACO1による抗酸化ストレス作用)を再検証を行った。その結果、これまで一過性の過剰発現系で得られていた結果と矛盾しないデータが得られた。また、ACO1過剰発現細胞株を用いて活性酸素産生剤による細胞内環境への影響を検討し、ACO1が抗酸化系に重要な働きをする可能性を見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究代表者の部署異動のために実験機器などのセットアップや環境の整備に時間がかかった。現在は環境整備なども整っており、これまでの遅れを取り戻すように努力している。

Strategy for Future Research Activity

本年度(2023年度)に得られた結果を基にして、次年度(2024年度)は以下の実験を行う予定である。
ACO1がROSによる傷害を抑制するメカニズムの解析
1) ACO1の発現の変化による代謝および遺伝子発現の変化を解析する 。ACO1を過剰発現(または発現抑制)したHEK293A細胞(および培養上清)のメタボローム解析を行う。ACO1はアコニターゼ活性を有していることから、クエン酸に関連する代謝物を中心に解析を行う。鉄欠乏状態で培養した場合や、ROS産生剤で酸化ストレスを誘導した場合などでも、同様にメタボローム解析を行う。また、ACO1は細胞質から核へと移行するという報告(Huynh et al., Nat Commun., 2019)もあることから、ACO1を過剰発現(または発現抑制)することによって発現量が変化する分子のピックアップするために、遺伝子発現プロファイリング解析を行う。得られた結果を基にして、ACO1がROSによる傷害を抑制するために必要な分子を決定する。候補分子が代謝物である場合には、その分子を培養に添加するなどして、ROS傷害を抑制するのかどうかを検討する。また、ACO1によって発現プロファイリングが変化する遺伝子が見つかった場合には、その遺伝子をクローニングしてHEK293A細胞へ過剰発現させて(またはノックダウンして)ROS傷害の抑制に関与するのかどうかを検討する。
2)ACO1によるROS消去活性を検討する 培養細胞にROS産生剤を添加して、細胞内のROSや酸化ストレスマーカー(脂質過酸化物など)の量が、ACO1の過剰発現(または発現抑制)によって変化するのかを検討する。また、精製したACO1を用いて、ROS消去活性の有無を試験管内でも確認する。

Causes of Carryover

研究室の移動によって不足していた機器(分光光度計)を年度末のキャンペーンに合わせて購入したところ、予定よりも安価で購入できたため。購入した分光光度計は、酵素活性の測定や代謝物の定量に使用する予定である。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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