2023 Fiscal Year Research-status Report
血流制限運動による包括的なフレイル予防プログラムの基盤創出
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23K10901
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
水上 健一 中部大学, 生命健康科学部, 准教授 (00736093)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 血流制限下運動 / 認知機能 / 脳由来神経栄養因子 / インスリン様成長因子 / フレイル / サルコペニア / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康日本21 (第二次) から認知症予防の重要性が明記され、後期高齢者は従来のメタボリックシンドローム対策からフレイル対応 (サルコペニアや認知症の予防,食生活の改善といった包括的な対策) への円滑な移行が必要である。有酸素性運動は認知症予防となることが確定的であるがサルコペニア予防に対して有効であるとは言い難く,運動器機能と認知機能の両側面に対して有効な包括的なフレイル予防プログラムの基盤創出が必要である. 本年度は若年者を対象に,一過性の血流制限運動が認知機能および関連血中分子指標へ及ぼす影響を検証した.血流制限運動の優れた点は低強度でも十分に運動器機能を改善・向上させるところにある.血流制限運動と認知機能のエビデンスは非常に限定的であることから,まずは効果的な運動強度やカフ圧の条件設定の検討に着手した.複数の条件下で一過性の血流制限下運動は有酸素性運動と同様に認知機能 (実行機能) を向上させることが示されたが,関連血中分子指標を効果的に増加し得る条件設定を見いだすには至らなかった.したがって,運動強度やカフ圧等の条件について更なる検討が必要である.また,現時点での運動様式は有酸素性運動を基本としているが,プログラムを普及させる観点から鑑みると運動様式にバリエーションを持たせることが必要かもしれない. しかしながら,本年度で得られた結果は血流制限下運動が包括的なフレイル予防戦略として有効である可能性を示唆するものであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年者を対象に,認知機能および関連血中分子指標に好影響を及ぼし得る運動強度・カフ圧を検討した.認知機能および関連血中分子指標のどちらにも効果的な条件を見いだすことが本年度の目標であったが,複数の条件設定で過性の認知機能向上が認められたものの,関連血中分子指標の増加を確認できるところまでは至らなかった.若年者を対象に条件設定を引き続き検討することが必要であるが,包括的なフレイル予防に繋がり得る知見を得たことは評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
一過性の血流制限下運動と認知機能の関連についての報告はほぼないため,運動負荷やカフ圧の条件設定をどうするか等,課題が残されている.引き続き若年者を対象として,認知機能および関連血中分子指標に好影響を及ぼし得る至適条件の探索を進め,条件設定が整った段階で高齢者を対象とした研究に切り替えることとする.
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Causes of Carryover |
他の研究との兼ね合いにより解析プログラムの更新を先延ばしにしたため,測定・解析用コンピュータの導入を見送った.また,血流制限用の消耗品が当初の見込みより劣化せずに使用可能であった. 次年度に解析プログラムを更新するため,予定通り測定.解析用コンピュータを導入する.追加の条件設定のための実験が必要なため,血流制限用のみならず,採血・ELISA等でも予定よりも多くの消耗品が必要となるため,そこに充当する.
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